2014 Fiscal Year Annual Research Report
ペリオスチンに着目した歯周病分子標的予防法の開発に関する基礎的研究
Project/Area Number |
25670885
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
栗原 英見 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 教授 (40161765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 雄士 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (40363080)
藤田 剛 広島大学, 大学病院, 講師 (80379883)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ペリオスチン / 歯肉上皮細胞 / E-cadherin / smad2 / TGF-beta / apoptosis |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病の慢性化への移行するスパイラルの標的分子として,近年アトピー性皮膚炎の慢性化メカニズムに関与していると報告があるペリオスチンに着目し,ペリオスチンが慢性炎症のキーファクターであるTh2の活性化に関与していくメカニズムについて解明することを目的とした。 in vitroの実験では,リコンビナントペリオスチンを作用させた培養ヒト歯肉上皮細胞において,細胞間接着因子であるE-cadherinのタンパク発現が低下した。このことからペリオスチンが歯肉上皮に作用し,歯肉上皮組織のバリア機能を低下させることが示唆された。Th2サイトカイン刺激によって上皮細胞が分泌するペリオスチンがTGFシグナルを活性化することが報告されている。そこでTGF-betaの歯肉上皮細胞に対する作用について検討したところ,TGF-betaはsmad2 signalingを介してapoptosisを誘導した。この結果から,ペリオスチンによる上皮細胞バリア低下には,TGF/smad2シグナルおよびapoptosisが関与することが示唆された。 一方で,このペリオスチンが炎症歯肉線維芽細胞から誘導されるかどうかを検討するため,炎症性サイトカインIL-1betaを歯肉線維芽細胞に作用させたが,mRNAでの発現の変化,さらにスプライシングバリアントにも差が認められなかった。また昨年度作成したマウス臼歯結紮歯周炎モデルで,ペリオスチン抗体を用いた免疫染色を行ったところ,結合組織において,コントロール群,歯周炎群ともに歯根膜組織から連続した陽性細胞が認められたが,両群間において顕著な差は認められなかった。これらのことから,炎症歯肉結合組織においてはペリオスチンの誘導は確認されなかった。 以上の結果から,ペリオスチンによる上皮細胞のバリア機能の低下にはTGF-betaが関与する可能性が示唆されたが,ペリオスチンの由来に関しては更なる検討が必要とされる。
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Research Products
(2 results)