2014 Fiscal Year Annual Research Report
微小電極を用いたマイクロ不可逆エレクトロポレーションの確立と歯周病治療への応用
Project/Area Number |
25670887
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藏田 耕作 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00368870)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 歯学 / 歯周病 / 不可逆エレクトロポレーション / 微小電極 / 膜破壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,電極の幾何学形状やパルス印加条件を微小化したマイクロ不可逆エレクトロポレーション(マイクロIRE)を新たに提案することにある. 平成25年度の研究では,IREの効果が最大となるような電極の幾何学形状を決めるために,電極幅に対する電極間距離の比L=0.25,0.5,1.0,1.5の4つの有限要素モデルを作成し,電界強度分布の無次元解析を行った. 平成26年度はその研究成果をもとに,実際の生体組織の表層を壊死させることを想定して有次元(電極幅および電極間距離:25~200μm)で諸条件を検討した.その結果,直径16μmの細胞を想定した場合, L=0.25の電極に安全電圧30 Vを印加することによって,表面から深さ60μmの壊死深さを得られることが明らかになった. 次に,フォトリソグラフィ法を用いて,ガラス基板上に白金薄膜からなる微小櫛形電極を実際に製作した.電極の幾何形状は,電極幅200μm,電極間距離50μm(L=0.25)とした.アガロースゲル中に線維芽細胞を分散培養させた生体模擬試料をこの微小櫛形電極に密着させ,電圧印加(電圧:30~50 V,パルス幅:10μs,パルス間隔:100 ms,印加回数:60,90回)を行った.その後,カルセインAMとヨウ化プロピジウムを用いて生細胞および死細胞をそれぞれ染色し,電極との接触面および試料深さ方向の断面を蛍光顕微鏡で観察した.その結果,電極と接触する試料表層に分布する細胞が不可逆エレクトロポレーションによって細胞死を生じていることが確認できた.壊死深さは数十μmであり,数値解析の結果と同じオーダーであった. 本研究の結果,微小電極を用いることによってIREの低電圧化を図れることが明らかになった.また,歯肉縁下の上皮組織の表層だけを壊死させたり,歯周細菌の細胞膜を電壊したりするのに本手法が有用であることが示された.
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Research Products
(5 results)