2014 Fiscal Year Annual Research Report
口腔のQOLとソーシャルキャピタル、「絆のホルモン」オキシトシン
Project/Area Number |
25670890
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
相田 潤 東北大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (80463777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿崎 真沙子 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (20580872)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | オキシトシン / ソーシャルキャピタル / ソーシャルサポート / 齲蝕 / 歯周病 / 歯科保健 |
Outline of Annual Research Achievements |
<研究目的>オキシトシン(以下OT)は下垂体後葉から放出され、末梢に作用することで子宮の収縮や乳汁の分泌を促進するはたらきをもつペプチドホルモンである(Peripheral effect)。さらに近年の研究により、OTは中枢神経を介して他者への信頼やソーシャル・キャピタルなど社会性に関連する可能性が報告されている(Central effect)。しかしOTのCentral effect について、日本人高齢者を対象にした研究は少ない。そこで本研究は、OTと社会性の関連を明らかにすることを目的とした。 <研究方法>仙台市宮城野区の高齢者を対象にしたコホート研究である鶴ケ谷プロジェクト参加者112名を対象に、採血検査と質問紙調査、歯科健診を実施した。血漿OT濃度と、ソーシャルキャピタル関連質問項目およびう蝕、歯周病との関連を検討した。 <研究結果>OTは平均4.49μU/mL (標準偏差5.21)であった。また、96名(85.7%)が検出限界である3μU/mLであった。「あなたが助けを求めることのできる家族や親戚の人数」が4人以上の人は、そうでない人に比べて血漿中OT濃度が高値である人の割合が有意に高かった(p= 0.015)。また、「一般的に人は信頼できますか」以外の変数で、有意ではないものの、社会性とOT濃度の間に正の相関傾向がみられた。う蝕、歯周病との有意な関連は認められなかった。 <考察>本研究では血漿中OT濃度とソーシャルサポートが高いことに有意な関連が認められた。その一方で、信頼感や歯科健診項目との有意な関連が認められなかった。その理由としてOTの検出限界の問題が考えられる。今後、今回のデータをより精細な測定手法を用いてさらなる検討を行う。
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Research Products
(6 results)