2014 Fiscal Year Research-status Report
妊婦歯科口腔保健を推進するための産科・歯科連携システムの構築
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25670893
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
日野出 大輔 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (70189801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 文昭 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (60195120)
吉岡 昌美 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (90243708)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 妊婦歯科口腔保健 / 産科・歯科連携システム / 口腔保健介入 / 受診行動 / 定期歯科健康診査 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.産科モデル医院での口腔保健介入調査:産科医院にて歯科医師および歯科衛生士による20分程度の講演形式によるプレママ教室を実施した。指導の効果について検討することを目的として、プレママ教室に参加した6産科医院の妊婦87名を対象に,参加理由,講演内容の評価,保健行動の実践,定期歯科健康診査の受診意識などに関する事後のアンケート調査を行った。プレママ教室参加者の86.2%は「たまたま参加した」とのことであったが,受講して何かの保健行動を実践しようと思ったかの問いに対し、96.6%の妊婦が「強く思う、思う」と回答した。以前に実施した徳島県内の産科医院を訪れた妊婦904名を対象としたアンケート結果では定期歯科健康診査を受診している者は38.8%と低かったが,今回のプレママ教室の事後アンケートにおいて,妊婦自身の定期歯科健康診査を今後に受けると回答した者は71.3%と高い比率を示した。プレママ教室の参加を通して定期歯科健康診査の受診行動に繋げることは,口腔保健管理の推進の観点から意義があると考える。 2.無料妊婦歯科健康診査事業に関する調査:徳島県N市では妊婦歯科健康診査事業による歯科医院での無料健康診査を実施している。同事業参加妊婦を対象に,CPIを含めた口腔内診査および口腔内症状や生活習慣に関するアンケート調査を実施し、そのデータを分析した。その結果,対象妊婦105名のうち、定期的に歯科健康診査を受けている者は27.6%であった。カイ二乗検定による分析から、定期的な受診者は未受診者と比較して「ブラッシング時の出血」、「歯の痛み」は有意に少なかった。また、「口腔衛生状態不良」および「未処置歯保有」が有意に少なく、CPIコード値も有意に低かった。結論として妊娠期の歯科口腔保健推進には、定期的な歯科健康診査の受診勧奨が必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
産科モデル医院での口腔保健介入調査において、産科医院での歯科医療従事者によるプレママ教室の開催およびアンケート調査が遂行できており、その分析結果から、「保健行動に関する実践意欲」や「定期歯科健康診査を受診意識」の変化が認められるなどの成果が得られている。 また、当初の計画には含まれていなかった無料妊婦歯科健康診査事業に関する調査においても、アンケート調査と口腔内の状態を関連づけた解析を行うことができて、「定期的な歯科健康診査の重要性」に関する結論を得るなど、興味深い知見が得られている。 上記の結果から、本研究課題はおおむね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.産科・歯科連携システムの構築:徳島県下各地区において本研究に協力の得られる協力産科医院でのプレママ教室開催の拡大を該当地区の歯科医師会・歯科衛生士会の協力を得て推進する。また、関係団体との連携を推進し,各関係者との本研究の趣旨及び口腔保健指導内容に関して十分な打ち合わせと研修会を実施する。 2.歯科口腔保健に関与する因子と低体重児出産との関連性:これまでの徳島大学病院における調査結果から、自覚症状や歯周状態などの歯科口腔保健因子が低体重児出産に関与する因子と考えられるか、解析を実施して報告する。 3.母子保健事業効果の検証:無料妊婦歯科健康診査事業を追跡調査する。同事業参加者の受診行動や幼児の口腔内状態への影響を追跡調査から分析し、保健事業としての口腔保健的介入の意義を検証する。
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Causes of Carryover |
平成27年度に272,169円が繰り越されたが、そのうちの約115,680円は、資料収集のための旅費として平成26年度に執行済みである。また、残金分に関しては、当初の計画にあったプレママ教室参加者への出産後アンケート調査の実施が遅れており、そのためにデータ入力依頼を予定していた研究補助者が雇用できず、経費の執行ができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
関係機関との連携を図り、プレママ教室参加者への出産後アンケート調査を実施して、データ入力を担当する研究補助者を雇用し、経費を執行する。 また、新たな計画として無料歯科健康診査事業においても、追跡調査として出産後アンケートを実施する予定であり、未使用額はそのための経費としても活用する予定である。
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Research Products
(5 results)