2013 Fiscal Year Research-status Report
口腔ケアによる高齢期に衰える脳認知機能回路の賦活化と再生の解明
Project/Area Number |
25670899
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
石川 恵里子 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10104340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 幸江 神奈川歯科大学短期大学部, その他部局等, 教授(Professor) (10123209)
小野塚 実 神奈川歯科大学, 歯学部, 名誉教授 (90084780)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 認知症 / 神経科学 / 認知機能 / 脳の老化 / 口腔ケア / ブラッシング / かな拾いテスト / MMSE |
Research Abstract |
本研究では、一般健常高齢者と寝たきりの高齢者を含む老人保健施設に収容されている高齢者において、2種類の認知機能検査(mini-mental status examination; MMSE、かな拾いテスト)および2種類の非侵襲的脳機能計測技術(磁気共鳴機能画像法(fMRI)と光トポグラフィ)を用い、ブラッシングによる前頭前野の賦活と再生及び認知機能の向上を世界に先駆けて解明することをゴールとする。 本年度は、老人保健施設に収容されている高齢者の認知機能に及ぼすブラッシング(歯ブラシ)の効果を調べた。そして、神経認知機能に及ぼす歯ブラシの効果が健常者と寝たきり高齢者で違いが生じるかどうかを検討した。 その結果、以下の成果が得られた。(1) 一般健常高齢者と老人保健施設に収容されている健常高齢者において、MMSEとかな拾いテストを行い、歯ブラシを行う前と歯ブラシを行った後で両テストの成績を比較したところ、歯ブラシを行った後の正答率が有意に高かった。(2)さらに、寝たきり高齢者と健常高齢者において、歯ブラシ前後のMMSEとかな拾いテストのスコアの変化を比較したとき、寝たきり高齢者の方が健常高齢者より成績の向上が著しかった。 これらの結果は、歯ブラシを高齢者に積極的に行わせると脳への五感情報(特に体性感覚、味覚、嗅覚)入力が増加し、覚醒度の増強による認知機能の向上が惹起されることを示している。従って、寝たきりの高齢者を含め高齢者に歯磨きや舌苔除去などの口腔ケアを推奨することは認知症予防、あるいは認知能力の減退を防ぐ上できわめて重要であることが示唆された。 次年度では、歯ブラシによる認知能力の向上の脳内メカニズムを上述の2種類の非侵襲的脳機能計測技術を用いて検索する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ、予定していた通りに遂行されている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、2種類の非侵襲的脳機能計測、すなわち簡易型光トポグラフィによる前頭前野におけるヘモグロビン濃度、および fMRI を用いた実験による脳機能画像の解析を行い、昨年度に得られた認知機能検査の結果(ブラッシングによるMMSEとかな拾いテスト認知評価)と比較し相関が見られるか評価し、高齢者の認知機能におけるブラッシング(口腔ケア)の神経科学的意義を解明することを目的とする。 (1) 運搬・移動が容易にできる簡易型光トポグラフィを購入し、前頭前野におけるヘモグロビン濃度に対するブラッシング効果を測定する。データの処理など基本的にはSasaguri et alの方法に従って結果の評価を行う。2種類の認知評価検査におけるブラッシング効果との間に相関が見られるか評価する。 (2) fMRI法を用いて、ブラッシング時の前頭前野のfMRIシグナルを計測する。装置は揖斐厚生病院に設置されているものを用い、撮像はT2強調画像を用い、一方の脳機能画像に対してはgrandient echo EPIを使って行う。次に、ブラッシングによって賦活される脳部位を同定する。一方、脳機能画像の解析にはMATLAB上で作動するSPM5を用いる。さらに、BOLDシグナル変化を評価するために画素毎のt値(T)を求め、これを標準化してZ値に変換、この値の空間分布をマッピングする。また、多重比較はGaussian random field theoryを用いて補正する(Friston et al)。 これらの結果と2種類の認知評価検査との間に相関が見られるか評価する。 最終的な達成目標は、高齢者の認知機能におけるブラッシング(口腔ケア)の神経科学的意義を解明し、「口腔ケア」のガイドラインの策定に貢献できることである。
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Research Products
(1 results)