2014 Fiscal Year Research-status Report
臨地実習で学習が停滞する時の学生と教師の認識と指導に関する研究
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25670925
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
堀 良子 北里大学, 看護学部, 教授 (70199529)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 臨地実習 / 学習停滞経験 / 学習停滞要因 / 教師に望むこと / 指導困難経験 / 指導困難要因 / 学生に望むこと |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、看護学臨地実習において、学習が停滞する時の教育指導の在り方について、学習困難状況に直面している影響要因と学生の態度構造を明らかにした上で、教師の指導構造パターンと学生のニーズを相互作用として考察し、学習の進行を推進する実習指導の在り方のついて考察することを目的としている。平成25年度からの3年計画の2年目として実施した。平成26年度は、初年度できなかった全国の看護師教育養成機関の大学・短大・3年課程専門学校の学生と教師を対象に調査を実施した。送付学校数は315,回答数は,学生251(26.6%)で,教師312(33.0%)であった。 【結果】臨地実習で学習の停滞を経験したことがあると回答した学生は61.0%、指導困難を経験したことがあると答えた教師は93.9%であった。学生が挙げた学習の停滞要因は、「学習量」「理解力」「コミュニケーション力」「学力」等の順で多かった。また、教師が挙げた指導困難に影響する学生側の要因は、「コミュニケーション力」「理解力」「学習意欲」「学力」等の順であった。学生が学習困難になる前に教師に援助を求めたかについては、「援助を求める行動をとった者」36.6%、「行動をとるときと取らない時がある者」44.4%、「行動をとらなかった者」19.1%であった。教師に援助を求めにくい学生の意見は、「どう話して良いかわからない」30.2%、「何が問題なのかよく分からない」21.0%、「話したいと思うが切り出せない」10.5%、「一方的に言われそう」10.5%等の順であった。 【考察】これらの結果より,実習指導において学生の学習の停滞とそれを指導することは、高頻度で起きている看護教育上の現実的課題であり、学習停滞時の学生の心理や置かれた状況をより精査し探究することが指導困難に至らないために重要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成25年度の計画実施の遅れにより、実質平成25年度計画を平成26年で実施することとなった。平成25年度の計画は、全国の大学・短大・3年課程専門学校の学生と教師を対象にした研究課題に関する現状調査である。平成26年度の計画は、臨地実習で学習の停滞を経験したことのある学生5名程度に対するインタビュー調査であるPAC分析(Personal Attitude Construct Analysis:個人別態度構造分析)と指導困難を経験したことのある教師5名程度に対する同様調査を実施することであった。 倫理審査、調査票内容検討・印刷準備、臨時雇用の募集と依頼、郵送作業等に手間どり、実質秋期から冬期にかけての調査となったためである。また返送された回答内容のデータ入力、分析等がその後必要であったため、当初平成26年度に予定していた計画は、平成27年度に持越しとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、最終年度となるため、平成26年度の計画である学生と教師に対するPAC分析を実施し、全国調査の量的結果と質的な当該テーマに対する個人別態度構造の結果を総合的に解釈分析し、考察することが必要となる。当初の計画通り実行できるよう鋭意努力して遂行する。学習停滞を経験した学生に対する内面の調査など研究の性質上、倫理的な問題をクリアすることに期間をかなり費やすことや研究参加を自発的に希望する学生が集まらない場合等も考えられ、場合によっては数を3名程度にして実施することも検討する。
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Causes of Carryover |
平成25年度に使用した経費は、殆ど全てが全国調査に必要な経費として使用した。平成26年度計画として実施する予定であった学生と教師に対するインタビュー調査に必要な被験者謝礼用贈答品代、研究打ち合わせ旅費および調査実施旅費、テープ起こしに必要な人件費等の経費が未使用となったためこのような使用状況となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に繰り越したインタビュー調査の実施は、まず全国調査の際にインタビュー調査に協力しても良いと意思表明した教師に対し、倫理的手続きを経て承諾した対象者に対し実施する。その際、協力した教師の所属する学校の学生に対し、掲示等で研究協力を呼びかけ、参加意思を示した学生に対し同じくインタビュー調査を実施するように遂行していく。これらはこれから順次準備を進めて、9月~10月頃教師のインタビューを実施し、12月~1月頃に学生の調査を実施する計画で進める。
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