2014 Fiscal Year Research-status Report
家族と「折り合いをつける」退院調整看護師の実践知の記述的研究
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25670939
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Research Institution | University of Shizuoka,Shizuoka College |
Principal Investigator |
影山 葉子 静岡県立大学短期大学部, その他部局等, 助教 (50566065)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 退院支援 / 家族 / 意思決定 / 実践知 / 退院調整看護師 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目となった本年度は、インタビューを行い、データの収集を行った。一般病床に区分される急性期病院の退院調整部門に勤務する退院調整看護師7名を対象に、インタビューガイドを用いた半構成的対話式インタビューを個別的に行った。本研究では、看護師の実践に埋め込まれた様々な認識や判断を明らかにしながら、実践を言語化していくため、インタビューは1名あたり複数回行い、実践経験の詳細な聞き取りを行った。インタビューの内容は承諾を得てICレコーダーに録音し、インタビュー終了後に逐語録を作成した。2名の対象者からは録音の承諾が得られなかったため、インタビューの際にメモをとらせていただき、インタビュー終了後にストーリーラインを作成した。逐語録とストーリーラインを読み込み、データ分析と論文作成の段階に入っている。 次年度が最終年度となるため、本研究の成果を論文にまとめ、国内外の学会での発表やジャーナルへの投稿を目指す。 また、前年度に投稿した、本研究の必要性の裏付けとなる文献レビューが今年度採択され、国内の学会誌に掲載された。先行研究では、支援方法や支援内容に関する事例研究が多かったが、どれも具体的な実践の仕方が見えづらかった。退院調整看護師が行う退院支援に退院調整加算が適用されるようになった現在、本研究によって、実践の中の看護師の認識や判断を明らかにし、言語化することは、ベッドサイドの実践が適切に診療報酬に反映されるためにも必要である。近年、社会学や哲学、倫理学、フェミニズム研究等でも「ケア」に関する議論が活発になっており、そうした他領域の議論も参考にしながらデータ分析を進めていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集がほぼ予定通りに進んだことが良かった。ただ、インタビューデータが予想以上に膨大な量となってしまっているため、今後は分析と論文執筆を効率よく進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
高齢化や医療費の増大、在院日数の短縮化、家族による代理意思決定といった本研究に関連するこうしたテーマは、既に多くの先進諸国で問題になっており、活発に研究が行われている。その中で、看護学の研究として、また日本の文化的な特徴を考慮したオリジナリティのある研究としてまとめるために、海外の研究文献を更に読み進める必要がある。また、看護や医療系の専門家との議論のみならず、他の学術領域の専門家との議論も進めたい。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査のための旅費とインタビューデータの逐語録作成のための委託費が予定よりも少ない額で済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
連携研究者や他領域の専門家とのインタビューデータの検討のための旅費、学会発表のための旅費、専門書(洋書)の購入、海外のジャーナルへの投稿のための英文翻訳・校正費が主な使用用途となる予定である。
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