2015 Fiscal Year Annual Research Report
腟内環境を正常化するための薬用活性炭腟内洗浄療法の基礎研究
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25670951
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
富永 國比古 岩手医科大学, 医学部, 非常勤講師 (50254032)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細菌性腟症 / 薬用活性炭洗浄法 / 乳酸菌 / バクテロイデス |
Outline of Annual Research Achievements |
「活性炭腟内洗浄療法」が腟内細菌叢の正常化のために有用であるか否かを、メトロニダゾール腟錠による治療群を比較対照として検討した。そのために、治療前後の腟内細菌(全菌数、Lactobacillus属、Gardnerella vaginalis属、及びBacteroides 属)の変化を、リアルタイムPCR法による、抽出DNAμlあたりの標的遺伝子のコピー数(16S rDNA)によって定量的に観察した。 両群の治療効果に差があるかどうか、Fishers’ exact test によって検討した結果、有意差はなかった(P=0.241)。次に、「治療効果」を目的変数とし、「年齢」、「治療法」、「治療前後におけるLactobacillus属/全菌数の変化率」、「治療前後におけるGardnerella vaginalis属/全菌数の変化率」、を説明変数として、多重ロジステイック回帰分析を行った(尚、Bacteroides属は、検出されなかったため、説明変数から除外した)。結果は、統計学的に有意な説明変数(予後因子:independent prognostic factor)は認められなかった。 これまで細菌性腟症の原因菌の一つと言われてきた Bacteroides属が、細菌性腟症の症例において不検出であったこと、すなわち、全検体36例、治療未完遂例も含めて1例も検出されなかった事実。これは、これまでの定説を覆すものなので、追加研究として、健常女性のボランテイア26名のBacteroides属の検索を行った。結果、健常女性の96%(26例中25例)は、腟内細菌叢にBacteroides 属を保有しないことが分かった。また、細菌性腟症患者の26%(15例中4例)においては、腟内細菌叢にLactobacillus属が検出されなかった。
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