2015 Fiscal Year Annual Research Report
母親の「母乳育児の意思」に基づいた母乳育児継続に向けた包括的支援プログラムの開発
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25670966
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
嶋 雅代 福井大学, 医学部, 助教 (50633385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上澤 悦子 福井大学, 医学部, 教授 (10317068)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 母乳育児 / 意思 / 感情 / 母乳育児継続 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、母親の母乳育児を「したい、続けたい」もしくは「したくない、やめたい」という『母乳育児の意思』に影響を及ぼす『母乳育児の理由』についてテキストマイニングの手法を用いて分析し、母乳育児継続支援について検討することを目的とした。産後1ヶ月の母乳育児中の母親を対象とした無記名自記式質問紙調査の結果、「母乳育児をしたい」という『肯定感の理由』は13項目、「母乳育児をしたくない」という『負担感の理由』は14項目が抽出された。 また、「完全母乳群」「毎回人工乳補足群」の2群で比較すると、「完全母乳群」は「赤ちゃんとスキンシップができて快いから」(β = 0.219, p < .01)、「赤ちゃんがおっぱいを飲む姿がかわいいから」(β = 0.198, p < .05)のように、児との愛着や母親の感情に関連する『理由』が『母乳育児の意思』に影響を与えていた(調整済み決定係数はR2 = 0.152( p < .001 ))。 一方「毎回人工乳補足群」は、「赤ちゃんとスキンシップができて快いから(β = -0.374, p < .01)」と「上の子も母乳育児をしたから」(β = -0.342, p < .01)は、『肯定感』に関する『母乳育児の理由』として抽出されたものであるが、「毎回人工乳補足群」においては負の影響を及ぼす因子であることが示された(調整済み決定係数はR2 = 0.376( p < .001 ))。つまり、母乳育児による母児への恩恵などの一般的な利点について理解していても、母乳育児中の児の反応や表情を楽しんだり応答したりする余裕がなく、母乳育児中の「快い」という感情を持てずにいることが示唆された。そのため、母乳育児に関する教育やトラブルへの対応だけではなく、母親の感情にも目を向け、母子間の相互作用を実感し、母親としてのアイデンティティを獲得する体験ができるよう支援することによって「母乳育児を続けたい」という『意思』が高まり、母乳育児継続につながると考える。
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