2014 Fiscal Year Research-status Report
成人期のプラダー・ウィリィ症候群本人のQOL向上を目指したケアギバーズ教育の検討
Project/Area Number |
25670968
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
中込 さと子 山梨大学, 総合研究部, 教授 (10254484)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 美朗 関西福祉科学大学, 健康福祉学部健康科学科, 講師 (40615829)
後藤 清恵 独立行政法人国立病院機構新潟病院(臨床研究部), 臨床心理・遺伝カウンセリング研究室, 臨床心理・遺伝カウンセリング研究室 室長 (30331531)
沓脱 小枝子 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50513785)
柊中 智恵子 熊本大学, 生命科学研究部, 准教授 (60274726)
佐々木 規子 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90315268)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | プラダー・ウィリー症候群 / 成人期 / 基本的ニード / ケア方法 / 生活習慣 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年の研究目的は、国内の成人期のPWSのある15名の生活実態を記述することを通して成人期のPWSの人々の基本的ニードの充足とQOLの向上のための対処法を検討することとした。 協力者全員がBMI25以上の肥満を経験していた。過食は2~3歳頃から始まった。続いて過食や盗食行動が始まり、親は食事制限や食品を隠すといった対策をとりながら、子どもの摂食行動への対応に苦慮していた。4名は学童期から糖尿病を発症した。PWSの診断後も過食や行動上の問題への対応のアドバイスはなく、親は日本PWS協会から情報を得、糖尿病管理に準じた食事管理、食事への満足感を与える工夫、徹底した食品管理、肥満対策としての運動に付き合い、食の欲求の故の行動をとらないよう24時間の見守りを行うという対処をしていた。これらの環境がある人は、過食を防ぎ、一定の食への満足感を持って肥満予防と糖尿病管理がなされていた。しかし1日のうち、24時間、見守ることができない環境にある人は現時点でも体重は増加するままであった。 就学状況は、2名は小学校から高校まで普通学級に通学し、13名は特別支援学級、養護学校、作業所等の施設へと進んだ。対人関係において自身の感情表現が不得手であり、物事に臨機応変に対処することは極めて困難であり、頻繁にコミュニケーション上のズレをきっかけに家庭内、学校内、地域の中、就労場所で問題が生じていた。激しい癇癪やパニックを起こすと身近な家族でさえも対応に苦慮していた。4名は精神科病棟に入院し治療を受けた経験を持っていた。パニックを起こした背景には、信頼対象の喪失、自尊心を傷つけられた経験、配慮のない罰を受ける、嫌で恥ずかしい思いをさせられるなど、承認が得られず、安全が脅かされた状況にあった。 就労状況は、14名がケアホームや施設や作業所で就労しているか、または会社勤務や短期アルバイトの経験をもっていた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度の研究で国内の成人期にあるPWSの人々の生活実態とその家族と支援者の実態が見えてきた。 2014年度はこのほかに、グループホームで生活するPWS本人に関わっている支援員、医療機関で関わる医療者、家族と共に、IPWSOが作成したベストプラクティスガイドラインに関する勉強会を開始した。 次年度は日本のケアギバーのための教育を開始する準備ができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2015年度は2014年度の成人期のPWSのある人々の生活実態と、ケアギバー(施設支援員、医療者、家族)らへのケアガイドラインに即した関わり方、対処の仕方の教育プログラムを作成し、実施する予定である。
|
Causes of Carryover |
今年度の成人期のPWSの人に関する調査では全国から15名の協力者が得られた。東北、関東甲信越、関西、中国地方であり、調査者の旅費が予定以上にかかった。 また、親、施設職員と本研究メンバーとでケアギバーのためのガイドライン研修会を2回実施した。それにより、次年度の準備を早く進められた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、関東PWSケアギバーズネットワークと関西のPWS支援者ネットワーク、PWSのある人々の家族(日本PWS協会)と協働し、支援者(ケアギバー)教育プログラムを作成し、実施する予定である。 また昨年度の研究発表を日本遺伝看護学会にて行う予定である。
|