2015 Fiscal Year Annual Research Report
インファントマッサージの触覚刺激が母児の快情動に及ぼすメカニズムの検証
Project/Area Number |
25670969
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡邊 浩子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20315857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
能町 しのぶ 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (40570487) [Withdrawn]
田中 弥生 京都光華女子大学, 健康科学部, 助教 (80636184)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | インファントマッサージ / 触覚刺激 / 快情動 / 近赤外分光法 / 育児支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、インファントマッサージを実施する母親、マッサージを受ける児の双方から、触覚刺激に対するマッサージ中の自律神経活動と大脳皮質活動を評価し、快情動のメカニズムを検証することにある。H26年度は、生後3ヶ月から10ヶ月までの乳児とその母親のペア22組をリクルートし、マッサージ中の母児の大脳皮質活動と自律神経活動を測定した。大脳皮質活動は近赤外線分光法NIRS(near infrared spectroscopy)を用いて、母親には送受光ファイバー各14チャンネルが装着された全頭型ホルダーを、児には送受光ファイバー各4チャンネルが装着された前頭葉型バンドを装着し、酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンの濃度変化をマッサージ15秒、マッサージをしない15秒を約10クール測定した。自律神経活動は心拍変動計「メモリー心拍計LRR-03」を用いてマッサージ中の母児の心拍変動値(心拍、HF値、HF/LF比)を測定した。その結果、約7割の母児にマッサージ開始5秒後から脳内oxyHb 濃度の減少がみられ、その減少はマッサージ終了10秒後まで続いた。マッサージ後に唾液中CgA濃度が減少し、リラックス効果が見られたと評価できる児は5名(55.6%)、母親は6名(66.7%)であった。母児のマッサージ前後の唾液中CgA濃度の変化率の増加・減少の一致率は66.7%であった。以上より、マッサージを受ける側の児にとっては、マッサージ中の触覚刺激は大脳皮質活動を減少させ、マッサージ終了後も大脳皮質活動の減少が続くことが明らかとなった。一方で上肢の運動を伴うマッサージを実施する母親にとっても、大脳皮質活動の減少、および唾液中のCgA濃度の低下から快情動をもたらすことが明らかとなった。インファントマッサージは母児双方にとって快情動をもたらす育児支援になりうることが示唆された。
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Research Products
(5 results)