2014 Fiscal Year Annual Research Report
入院中の統合失調症者のメタ認知の向上を目指した看護介入の効果
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25670988
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森 千鶴 筑波大学, 医学医療系, 教授 (00239609)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 精神看護学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、統合失調症者の対人機能の基盤になっているメタ認知機能の向上を目指すことを目的とした看護介入プログラムを作成し、その効果を明らかにすることを目的とした。 自分自身の感情への気づきを高めるように、自分の感情を感じた状況やその時の行動、その感情を感じたきっかけについて述べてもらうような全6回からなるプログラムを開発し、精神看護の修士課程を修了した専門家から妥当性があるとの確認を得た。また有効性を明らかにするために、メタ認知機能を測定するSemerariらが開発したMAS-R(Meta cognition Assessment Scale 2009-R)およびLASMI-I(Life Assessment Scale for the Mentally Ill Interpersonal relation)を用いて評価を行った。MAS-Rは、日本語への翻訳の後、バックトランスレーションを行い、精度を高めた。その他、対象者選択に際してTMT(Trail Making Test)、知能検査を実施した。 対象者の選択基準に該当し、同意の得られた30歳代の統合失調症2名が対象となった。1名の対象者はメタ認知の向上が認められたが、1名には改善が認められなかった。改善の認められなかった対象者は、知能検査には差が認められなかったが、TMTに要する時間が長く神経認知機能の低下、陰性症状による会話の困難や自発性の低下が認められたため、それらの神経認知機能の影響が大きかったのではないかと考えられた。改善の認められた対象者は、自らの感情の状態に気づき、自分の意思を明確にすることができるようになった。 しかし、本研究の結果を以て本プログラムの有効性が明らかになったとは言い難く、さらに継続する必要性が示唆された。
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