2013 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の精油芳香時の自律神経反応から検討する芳香法によるアロマセラピーの妥当性
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25670996
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
坂本 祐子 福島県立医科大学, 看護学部, 教授 (20333982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村松 仁 福井県立大学, 看護福祉学部, 教授 (50303433)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 精油 / 高齢者 / 自律神経 / 認知機能 |
Research Abstract |
初年度は,①高齢者を対象とした精油の匂い刺激に対する反応の実態調査プロトコールについて検討後,②成人を対象にプレテスト後,③認知機能障害のない高齢者を対象に本調査を実施した. ①調査プロトコールは,国内外の先行研究の検討,アロマセラピストとして起業している看護師との意見交換から精油の種類・芳香方法を設定した.使用する精油は,単一の種類を使用した場合,匂い刺激に対する反応は個人の嗜好に左右されやすく,結果に影響を与える可能性が示唆されている.また,申請時に検討していた市販の匂いパッチは数種類の精油で作成されていることから,本研究の目的が達成できないと判断した.以上の検討結果より,調査では試用する精油は,2種類精油より作成されている「リ・ブレイン(昼用・夜用)」をとし,芳香はハンディタイプのディヒューザーを用いることとした. ②調査プロトコールのプレテストは,成人期の女性15名を対象に実施した.このプレテストでは,芳香時間や心理的負荷の有無について検討を行った.その結果より,芳香時間は,最低10分間必要であること,高齢者では心理的負荷は不要と判断した.また,選択した精油の官能評価では,2つの精油に嫌悪感を示す対象者が皆無であったこと,嗜好が自律神経反応にも影響しなかったことから,高齢者に対しても同精油を使用することとし,調査プロトコールを確定させた. ③①②より決定した調査プロトコールを経費老人ホーム(ケアハウス)入所者を対象に調査を開始している.2014年3月末現在6名であるが,今後20名程度まで対象者を募集する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
以下の2つの理由から,調査プロトコールの作成に予定より多くの時間を要しため,初年度で終了予定の認知機能障害のない高齢者の調査を継続中である. 第1点は,先行研究より調査プロトコールを作成する計画であったが,精油の種類,芳香方法と時間,心理的負荷の有無と内容を検討すると,その方法は膨大な数となった.そのため,先行研究の検討後,老年科医師,アロマセラピストとして起業している看護師と意見交換をしながらプロトコールの検討したため時間を要した. 第2点は,高齢者を対象とした調査の場合,そのプレテストを青年期など他世代対象に実施することを疑問視する声がある.しかし,調査依頼が可能な高齢者の母数を考慮すると,プレテストに高齢者を公募することはその後の本調査に支障をきたすと判断し,青年層を対象としプロトコールの妥当性の検討を行った.青年層の結果をそのまま高齢者に適応させるか等,疑問視する意見を念頭に置きながらプレテストの結果からプロトコールの精錬作業をおこなったため時間を要した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度前半は引き続き認知機能障害のない高齢者を対象とした調査を継続し,20例まで症例数を増やす予定である.そのために必要な協力施設の確保も終了している. 後半は認知機能障害のある高齢者を対象に調査を実施する予定である.その遂行の障壁としては,対象者の確保が考えられる.調査プロトコールを鑑みると複数回調査が必要なことから,認知治療棟以外の施設入所者あるいは通所ケア利用者,物忘れ外来通院している方が対象となると考えている.そのうち,心理行動障害(BPSD)を有する(あるいは重度)高齢者を対象とすることは困難であり,認知症治療専門とする医療機関・施設に入院・入所している方は対象外となると考えている.現在,申請者が先行研究で協力を受けた介護老人保健施設8施設の通所部門の協力の内諾を得ており,加えて所属大学の附属病院物忘れ外来に協力を依頼中である.これらの機関から協力が得られれば対象者の確保は可能であると考えている. 認知機能障害のない高齢者を対象としたプロトコールが,そのまま認知機能障害のある高齢者に適応可能かも検討する必要がある.その点については,老年科医師,精神科医師,認知症看護認定看護師と意見交換しながら検討する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
認知機能障害のない高齢者の調査予定数30名のうち6名着手で年度終了を迎えたことが繰越金を発生した主たる理由である. 繰越金は,現在継続調査中であり,20例の調査を目標としている認知機能障害のない高齢者の調査旅費・消耗品として使用する予定である.
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