2013 Fiscal Year Research-status Report
認知症高齢者に対しタクティールケアを施術する家族自身に及ぼすリラックス効果の検証
Project/Area Number |
25671004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
小泉 由美 金沢医科大学, 看護学部, 准教授 (70550763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 由美子 金沢医科大学, 看護学部, 講師 (90566861)
久司 一葉 金沢医科大学, 看護学部, 講師 (00550782)
酒井 桂子 金沢医科大学, 看護学部, 准教授 (40566858)
坂井 恵子 金沢医科大学, 看護学部, 教授 (60454229)
松井 優子 金沢医科大学, 看護学部, 准教授 (00613712)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | タクティールケア / 施術者のリラックス効果 / 認知症高齢者 / 家族介護者 / 自律神経活動 |
Research Abstract |
タクティールケアは手掌で相手の背部や手足部を柔らかく包み込むようにゆっくり触れるタッチとマッサージの中間的な手法で、認知症高齢患者の攻撃性の改善や睡眠導入効果、不安やストレスの緩和等の報告がある。また、ケアをする側にも「落ち着く、癒される」などのリラックス効果が主観的評価ではあるが報告されている。本研究において、認知症高齢者の家族介護者にタクティールケアの手法を指導し、ケア提供者側のリラックス効果を生理的・心理的に検証することにより、科学的根拠をもって臨床の場で認知症高齢者の家族介護者にタクティールケアの普及に努めることが可能となる。さらに家族介護者がタクティールケアを介護場面で活用することによって、認知症高齢者への症状緩和の効果と介護者自身のリラクゼーション効果が期待できることから、介護負担軽減に寄与できると考えた。 そこで、平成25年度は、第一段階として、タクティールケア熟練者20名を対象に施術時のリラックス効果を生理的・心理的に検証した。一定の条件を保った室内で、「コントロール」として30分間の座位、その後「施術」としてタクティールケアを30分行った。生理的指標として、自律神経活動、唾液中の分泌型IgA、酸化還元電位等を、心理的指標として、二次元気分尺度を用いた。分析は、自律神経活動は、「コントロール」と「施術」の30分間の副交感神経活動および交感神経活動の平均値の差を、唾液や気分に関しては、「コントロール後」と「施術後」の差を、Wilcoxonの符号付き順位検定を用いた。結果として、タクティールケア施術中は、副交感神経活動が活性化し交感神経活動は低下した。また施術後は、分泌型IgAの増加および酸化還元電位における酸化度の低下、二次元気分尺度での活性度や安定度、快適度が有意に高かったこと等から、タクティールケア施術者自身のリラックス効果が生理的・心理的に検証できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に予定していた第一段階の実験研究は終了し、現在、研究成果の発表として、日本看護研究学会第40回学術集会に演題登録を行い、学会発表に向けての準備を行っている。また、同学会の学会誌への論文投稿にむけて論文作成中である。 平成26年度は、第二段階として、認知症高齢者の家族介護者を対象に施術時のリラックス効果を生理的・心理的に検証するため、現在は家族介護者のタクティールケア指導に向けての物品準備、認知症外来受診に付き添う認知症高齢者の家族介護者に研究協力を依頼するための主治医への説明、共同研究者との調整を行っている段階で、おおむね計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の実験研究によってタクティールケア施術者自身のリラックス効果が生理的・心理的に検証できたことを受けて、平成26年度は、第二段階として、認知症高齢者の家族介護者を対象に施術時のリラックス効果を生理的・心理的に検証する。対象者は認知症高齢者の家族介護者20名とし、金沢医科大学病院の高齢医学科認知症外来を中心に実施する。 実施内容は、タクティールケアがどのようなケアであるか、タクティールケア認定者による施術を家族介護者に受けてもらい、ゆっくり触れるタッチとマッサージの中間的な、なでる感覚を体感してもらう。その後、タクティールケアの手法(家族用に簡略化したもの)をタクティールケア認定者が指導する。ケアに使用するオーガニックオイルやバスタオルは研究者側で準備し提供すること、その他、費用の負担はないことを伝える。さらに、自宅で週1~2回のペースで、タクティールケアを実践してほしいことを伝える。施術時のリラックス効果測定として、外来受診の際にタクティールケアを被介護者である認知症高齢者に施術して頂き、自律神経活動や血圧、唾液(酸化還元電位)、気分等を測定する。また、タクティールケア施術時の思いや介護状況の把握を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
自律神経解析装置や酸化還元確認計、唾液検査料代の消費税や振り込む手数料を予算に計上し、端数金額として7615円が残金となった。 平成26年度の成果発表として、学会発表および論文投稿にむけての交通費や英文校正費用、第二段階の認知症高齢者の家族介護者を対象としたタクティールケア施術時のリラックス効果検証の使用物品購入にあてる。
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