2013 Fiscal Year Research-status Report
虚弱高齢者にも安全に行えるバランスゲイトトレーニングの開発-多施設共同研究-
Project/Area Number |
25671005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
村田 伸 京都橘大学, 健康科学部, 教授 (00389503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 潤 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (00304428)
山崎 先也 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 准教授 (20352354)
大山 美智江 福岡県立大学, 人間社会学部, 研究員 (40448816)
甲斐 義浩 京都橘大学, 健康科学部, 准教授 (90632852)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バランスゲイト / 筋電図学的分析 / 下肢筋力トレーニング / バランストレーニング |
Research Abstract |
本年度は、健常成人を対象にバランスゲイトの運動学的メカニズムの解明と高齢者を対象にバランスゲイトの再現性と妥当性を検証した。健常成人20名(平均年齢20歳)を対象とした研究では、バランスゲイト、最速歩行、最適歩行中の下肢筋の筋活動を比較検討した。その結果、バランスゲイト中は、最速歩行ならびに最適歩行時と比べて、測定した下肢の筋群(大腿四頭筋・大腿二頭筋・腓腹筋・前脛骨筋)すべてにおいて有意な筋活動の増加が認められた。なかでも、大腿四頭筋と前脛骨筋の筋活動は、最速歩行時の3倍に達した。このことから、バランスゲイトが筋力トレーニングとして活用できる可能性が示唆された。 糖尿病や高血圧など、慢性疾患に罹患している高齢者44名(平均年齢72歳)を対象に、バランスゲイト・最速歩行・最適歩行時の各歩行パラメータについて、級内相関係数を求めて再現性を確認した。その結果、バランスゲイトの級内相関係数は0.7を超え、最速歩行や最適歩行の係数より下回ったが、臨床応用できることが示された。さらに、下肢筋力の代表値とされる大腿四頭筋筋力、立位バランスとの関与が指摘されている足指把持力、バランス評価である片足立ち保持時間、認知機能の評価であるMini-Mental State Examination(MMSE)を測定し、基準関連妥当性を確認した。その結果、バランスゲイト時間と大腿四頭筋筋力、足指把持力、片足立ち保持時間との間に有意な強い相関が認められ、幅20cm×長さ5mのゴム製ラバーの歩行路をはみ出すことなく、ゆっくり時間をかけて歩ける高齢者ほど、下肢筋力が強く立位バランスが良いことが示された。これらのことから、バランスゲイトは高齢者の下肢筋力トレーニングとともに、バランストレーニングとしても有用である可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、健常成人を対象にバランスゲイトの筋電図学的分析を行い、虚弱高齢者を対象にバランスゲイトの再現性と妥当性を検証し、十分な結果が得られた。さらに、トレーニングへの応用可能性まで確認できたことからも、順調に計画は進行している。なお、計画では筋電図学的実験を虚弱高齢者にも行う計画を立てていたが、統計解析に耐えうる人数を実施できなかった。これについては、26年度の事業計画の補足実験として人数を追加して実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、近隣の高齢者施設に通所している虚弱高齢者280名を対象に介入研究を行う。それぞれの大学で60名ずつ(京都橘大学は100名)の虚弱高齢者を対象に、ベースライン評価としてバランスゲイト、最速歩行、下肢筋力、バランス評価、認知機能評価、 活動能力を評価する。 つぎに、大学毎に対象者を介入群と統制群にランダムに振り分け、介入を開始する。介入群には、研究1で示されたバランスゲイトトレーニングを1回15分程度、週3回の頻度で12週間実施する。統制群には、介入群と同様の頻度・期間で通常歩行トレーニングを行う。 トレーニングの効果判定は、介入終了直後にベースライン評価と同様の評価を行い、2要因分散分析(群×介入)を用いて、歩行能力の改善効果の有無とそのメカニズム(筋力・バランス・認知機能)を検証する。また介入後のバランスゲイト評価により、転倒リスク毎に対象者をグループ化し、その構成比でもトレーニング効果を明らかにする。さらに、6ヵ月間の前向きコホート研究により、それぞれにグループ化された転倒リスク群の転倒者の比率から、トレーニングの転倒予防効果を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度の計画では、筋電図学的実験を虚弱高齢者にも行う計画を立てていたが、統計解析に耐えうる人数を実施できなかった。この実験にかかる消耗品、交通費、協力者への謝金、実験補助者に対する人件費に使用できなかった。 昨年度実施できなかった虚弱高齢者を対象とした筋電図学的実験を行う費用(消耗品、交通費、協力者への謝金、実験補助者に対する人件費)として計上する。
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Research Products
(4 results)