2013 Fiscal Year Research-status Report
精神障害者の親をもつ子どもの青年期の生活状態に関する研究
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25671006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
田野中 恭子 佛教大学, 保健医療技術学部, 講師 (50460689)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 精神障害者の親 / 子供 / 国際情報交換 / ドイツ / ハンブルク / デュイスブルク |
Research Abstract |
本研究は、精神障害者を親にもつ子どもの青年期の生活実態を明らかにし、必要な支援を検討することを目的としている。 1.ドイツをはじめとした国外の先行研究の把握:関連する文献をPubMedおよびPsycINFOより62件抽出し精読した。また、ドイツで「精神障害者を親にもつ子ども」に関する書籍、子ども向け絵本を購入し、特に学術論文も報告している著者の書籍“Kinder mit psychisch kranken Eltern:Klinik und Forschung”(Wiegand-Grefe S. 2011)の要約を行った。さらに、絵本“Sonnige Traurigtage”(Schirin Homeier. 2009)に関しては、子どもだけでなく周囲の大人が読むことで子どもの理解につながると考え、翻訳出版できるように出版社と打ち合わせを行っている。 2.現地視察:平成25年9月に7日間、“CHIMPs” (Children of mentally ill parents)への支援プロジェクトを展開しているドイツ・ハンブルク州のUniversity Clinic Hamburg-Eppendorfおよび他2箇所の団体や行政を訪問し、知見に関する資料の収集、支援の実際を見学し情報交換を行った。ドイツでは各地で子ども向けの取り組みを行い支援者相互に連携していることが明らかになった。 3.国内学会での報告:1.2.の調査結果をまとめ、第2回日本公衆衛生看護学会学術集会(小田原)で報告し、さらに京都精神障害者家族連盟に加盟している家族会で報告した。先進的な取り組みについて国内で報告できたことは、本テーマの発展に向けて意義があったと考える。 4.国内のフィールドワーク:精神障害者での親をもつ子どもの会等に参加し現状の把握を行っている。今後対象者への調査を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題に関して先進的な取り組みを行っているドイツを訪問し、結果を国内に報告できた。しかし、結果のとりまとめや文献レビューに時間を要したため、国内への対象者への調査に関してはフィールドワークに留まった。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、国内でフィールドワークを行った結果、他の研究者が精神障害者の親をもつ子どもの生活実態を把握しており、国内での報告数も増えていることがわかった。また、実態把握も重要だが、周囲の支援者への理解促進を進め、早急に支援の展開に結び付けていく必要があることが明らかになった。そこで、当初予定していた子どもの生活実態の量的調査は行わず、支援に着目した研究を推進していく。 まず、子どもが必要としている支援については十分に調査されていないため、子どもへの質的調査を行う。また、周囲の大人や専門職の理解を促進するための絵本の出版や支援者に向けた研修の検討を行っていく。研究を遂行するために、近畿圏の同じ研究テーマに取り組む研究者達と連携していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ドイツ7日間の旅費として当初3名分を計上していたが、1名は自費で渡航したため、予算よりも少ない金額となった。一方、調査先がドイツ訪問直前に変更となり急遽関連文献の翻訳が必要となったため、業者に翻訳を委託した。そのためその他の支出が予算より多くなった。最終的には予算執行率99.7%、残額2762円となった。 国内の研究者との意見交換や子どもの会への参加のための国内の交通費、精神障害者の親をもつ子どもへのインタビューデータの入力・整理のための人件費としての計上を予定している。
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Research Products
(2 results)