2014 Fiscal Year Research-status Report
携帯型超音波血流計を用いた高齢者の下肢血流評価に関する研究
Project/Area Number |
25671008
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
溝部 昌子 千葉大学, 看護学研究科, 特任准教授 (00625684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 哲郎 東京大学, 医学部附属病院, 登録研究医 (70190791)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 下肢血流評価 / ABI / 高齢者 / 足背動脈 / 触知部位 / 血管看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
療養病床及び介護老人保健に入院または入所している高齢者46名を対象に、下肢動脈の徒手触知、6P症状の観察、携帯型超音波血流計(Smartdop45)を用いた足首血圧、ABI(足首/上腕血圧比)を測定した。足背動脈、後脛骨動脈触知部位を模式図と写真により記録した。 対象92肢の下肢動脈で徒手触知不可能であったのは、後脛骨部、足背部、膝窩部、鼠径部の順に多かった。足背動脈は、54肢(59.8%)触知可能、携帯型超音波血流計を用いれば34肢(37.0%)検知可能、血流計を用いても4肢は検知不可能であった。後脛骨動脈は、24肢(26.0%)触知可能、血流計を用いれば53肢(57.6%)検知可能であった。足背動脈触知部位を、A長拇趾伸筋と第二長趾伸筋の間隙、B足背弓状動脈領域に分類すると、A:63肢(71.6%)、B:25肢(28.4%)であった。6P症状の内、知覚鈍麻、運動低下、痛みは不明の対象が多かった。ABIは最大1.81、最小0.32、平均0.99±0.23で、重症度分類で正常(0.91≦ABI≦1.4)44肢、軽度虚血疑い(0.4≦ABI<0.9)23肢、重症虚血疑い(ABI<0.4)2肢、1.41以上3肢であった。足背最大流速(平均18.9±13.8SD)は後脛骨(平均7.56±14.4SD)に比べ有意に高く、最大流速と最小流速の差の絶対値からなる最大振幅についても、足背動脈は後脛骨動脈に比べて有意に高かった。 対象の高齢者において、足部動脈触知、ABIによる下肢血流の実態が明らかとなった。これは、本研究の主目的の一つである。この基礎的な資料を基に、今後、高齢者の下肢血流評価の看護ケアへの活用の意義、実践的な評価方法や下肢血流が低下している患者の看護方法について検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、ABIと患者の看護や介護・生活の状態との関連を検討するための患者データの収集をABI測定とは別に2段階で行う予定としていたが、現時点で、既に、治療・看護・介護など多様な種類のデータを収集しているため、新たに対象者を拡大せずこれをより詳細に分析することにしている。 看護師が下肢血流を評価する技術習得については、予め用意していた手順書をさらに改訂し、他の施設の看護師の実践にも影響は波及しつつあり、進んでいる。研究成果の公表とともに、看護師が下肢血流評価を測定する意義、血管看護について普及、教育するための学会発表、講演等にも成果が活用されつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
下肢動脈の部位ごとの触知に関わる成果の論文化、足背動脈触知部位に関する成果の論文化、ABIと患者のADLに関する成果の論文化、ABIと患者の看護問題、介護状態に関する成果の論文化、看護師の下肢血流評価の技術に関する方法についての論文化を予定している。 また、下肢血流評価の意義と方法について、看護師及び看護学生に教育・啓発するための教育プログラムや体制作りのための基礎として、血管看護に携わる看護師、コメディカルのネットワーキングを進め、血管看護の普及、専門性の向上を指向して、本研究成果の活用・普及にも注力する。
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