2015 Fiscal Year Annual Research Report
看護師業務における業務上精神障害予防のための教育プログラムの開発
Project/Area Number |
25671023
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
渕野 由夏 福岡県立大学, 看護学部, 准教授 (20316144)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 看護師 / ストレス / 精神障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
仕事のストレスによる精神障害の労災請求件数が増加している中、看護師にとっても仕事によるストレスは取り組むべき重要な課題となっている。そこで、本研究では、労災認定基準に基づく看護師の業務上精神障害予防のための管理監督者教育プログラムを開発することを目的としている。 本研究では、まず、精神障害と業務(仕事)の因果関係(業務起因性)について精神障害の業務起因性を主な争点とした判例の検討による実態分析を行うとともに、判例検討結果の妥当性の検証等にむけた文献検討を行った。次に、管理監督者教育プログラム案作成の基礎資料とするために、これらの研究成果をふまえつつ、厚生労働省の認定基準を基盤とした質問紙を作成し、看護師を対象とした質問紙調査の実施、調査結果の集計および分析を行った。 最終年度は、調査結果の集計・分析結果に基づき、看護師長等の管理監督者が「ラインによるケア」が実践できる能力を習得することを主な目的とした管理監督者教育プログラムを作成した。そして、質問紙調査を実施した医療施設に勤務する看護師長等33名を対象として教育プログラムを実施した。教育実施前の看護師長等による職場のメンタルヘルス対策の取り組み状況をみると、取り組んでいると回答した者の割合が約7割とほとんどの看護師長等は職場で何らかのストレス対策を実施していたが、その対象者の選別は看護師長等の主観的判断に基づいて行っている傾向にあった。そこで、教育プログラムにより全看護職のストレスの実態集計結果や看護職経験年数別の比較集計結果をもとにストレス対策の必要性やその具体的方法について教育を実施した結果、看護師長等は経験年数に応じたストレス対策を実施していく必要性を認識できるようになった。さらに、主観的判断ではなく根拠に基づいた対策の実施につなげることが示されたことから、一定の教育効果があることが示唆された。
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