2013 Fiscal Year Research-status Report
脳卒中患者が就労を継続していくための支援のあり方についての研究
Project/Area Number |
25671028
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
三好 智美 東京工科大学, 医療保健学部, 助教 (40613279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥宮 暁子 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (20152431)
五十嵐 千代 東京工科大学, 医療保健学部, 准教授 (20587787)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脳卒中患者 / 再就労条件 / 就労継続 / 支援 / 課題 |
Research Abstract |
再就労した脳卒中患者の就労経過とその過程での課題等と対処、就労継続のために必要な支援を明らかにすることを目的とし、患者男性7名とその妻3名に聞き取り調査を行った。調査時間は約1時間、調査項目は属性、現在利用しているサービス、発症前の就労状況、再就労の理由、発症後の就労までの経過(相談相手と再就労への準備)と就労後の状況や会社での対応、再就労してよかったこと、患者が再就労継続していくための支援等である。患者の年齢は40代~50代、元職場への復帰6名(内1名非常勤)で全員が所属先・職務内容を変更していた。新職場への就職は1名だった。職場復帰・就労継続の第1理由は子供の養育・教育のためであり、リハビリ病棟退院後、就労支援センターを利用し復帰に向けてリハビリを受けていた。受入側の企業の多くは人事担当と上司が窓口となって対応し、患者に合わせた職場環境の調整を行っていたが、企業により差がみられた。復帰にあたっては患者自身が自分のできることを客観的に理解し職場に伝え調整していくこと、企業側はジョブマッチングをきちんと行い適正配置を行うこと、入院中の病院でのリハビリに就労を目指した内容を取り入れてほしいとのことだった。妻は、再就労に向けて企業が積極的に就労支援センターと連携を取り、再就労前にジョブマッチングを行い、患者にあった職場、職務内容を検討してほしいとのことだった。 先行研究では復職の基本条件として8時間の作業耐久力と通勤が可能であることがいわれているが、本調査では必要だが余り困らなかったとの意見が多かった。再就労し継続していくためには、患者本人の再就労への強い意志とその背景には子どもへの親としての責任感があったこと、患者自身が自分の現状を客観的に評価しそれにあわせた職務内容を企業側と調整できること、発症時からの企業側との密な関係とジョブマッチングの必要性が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度中に脳卒中患者やその家族への聞き取り調査を終了予定だった。しかし、調査対象者選定のために平成25年6月から患者会へ参加し、主催者や参加者と関係づくりを行い、10月に調査目的と調査協力を説明した。11月の患者会で調査について12名の患者とその家族4名から承諾が得られた。その後、平成25年度~平成27年度の3年間の研究計画書を作成し、大学の倫理委員会への申請となったため、申請時期が平成25年12月となった。倫理委員会からの意見を踏まえ修正し、再提出後、平成26年2月付での承認となった。 倫理委員会の承認後、聞き取り調査日程を調整し平成26年3月から実施したが、協力者の都合で調査は年度内には終了できなかった。聞き取り調査は4月も継続して実施していた。そのため5月に逐語録を整理していく予定である。 平成26年度に予定している企業の調査は、平成25年度の調査結果をもとに調査項目を修正するが、予定通り平成26年度内には実施できる予定と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、平成26年3月~4月末の間に聞き取り調査を実施した患者・家族の調査から再就労した脳卒中患者の就労経過とその過程での課題等と対処、就労継続のために必要な支援を明らかにし、学会発表予定である。 平成26年度は予定していた企業への調査と平成27年度の調査予定だった中途障害者を対象としている就労支援センターへのアンケート調査と聞き取り調査を予定している。企業の調査対象は四季報で無作為に選出し人事担当者にアンケート調査を実施する。アンケートに回答してくれた企業の中で、聞き取り調査の協力依頼が得られた企業には聞き取り調査を実施する。企業については、障害者就職説明会(横浜市内で年2回開催)に参加している企業も対象にしたいと考えている。就労支援センターは全国の就労支援センターの責任者を対象にアンケート調査を実施する。アンケートに回答してくれたセンターで聞き取り調査の協力依頼が得られたセンターには聞き取り調査を実施する。就労支援センターの聞き取り調査では、行政で障害者就労支援をサポートしている横浜市のセンターやNPO法人も対象にしたいと考えている。 平成27年度は、回復期リハビリ病棟、行政の障害者支援担当、ハローワークを対象に調査を実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は予定していた聞き取り調査実施が遅れ、年度内の調査は一部の調査協力者だけへの実施となったこと、逐語起こしは平成26年度に行う予定にしたこと、データ分析専用のパソコン購入も平成26年度にしたことで、次年度使用額が生じた。 平成25年度中にできなかった聞き取り調査費(謝礼金・交通費)、逐語起こし費用(平成26年3月~4月実施分)聞き取り調査の結果の分析・考察のための文献購入、平成26年度は企業と就労支援センターへのアンケート調査を実施する予定のため、調査費(プレテスト協力謝礼・印刷費・郵送費等)やデータ入力費に使用予定である。デーや分析専用のパソコンの購入費として使用予定である。 調査結果の学会発表参加費や交通費(研究代表者・研究分担者2名分)として使用する。
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