2014 Fiscal Year Annual Research Report
確率的アルゴリズムにおける乱数の果たす機能と効果の究明
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25700002
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
来嶋 秀治 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 准教授 (70452307)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アルゴリズム理論 / 離散構造 / マルコフ連鎖 / 脱乱択化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では,計算における乱数の機能の究明に向け,「乱択アルゴリズムの設計」と「脱乱択化の新理論の構築」の両研究を進めている.ランダムウォークの脱乱択化に関して,25年度に関数ルーターモデルを開発し,その頂点誤差評価を行ったが,本年度はこの研究を発展させた混交時間(mixing time)を用いた頂点誤差ならびに計算量の解析の成果を国際会議にて発表した.さらに,数え上げ困難問題に対するマルコフ連鎖モンテカルロ法を用いた乱択近似アルゴリズムの脱乱択化の汎用技法の開発に向け,頂点誤差解析の研究を発展させ,部分集合の誤差解析の研究を現在進めて成果を得つつある.特に総変動誤差の上界を与えた一方で,下界も証明し,総変動距離を小さくすることが一般には難しいことを示した.現在はマルコフ連鎖モンテカルロ法を用いた乱択近似アルゴリズムの脱乱択化に必要な部分集合に特化した解析を進めているところである.乱択アルゴリズムの設計に関しては,省領域のオンライン乱択数え上げアルゴリズムの成果を発展させ,頻度分布を求める高効率な近似計算の新しい技法を設計した.提案手法は,乱択数え上げと極値分布を応用した技法であり,確率不等式を用いた精度保証を与えている.この他,現実問題に起因する安定結婚問題における最適選好マッチングについて,離散構造の解明に取り組んだ.最大最適選好マッチングの端点集合の不変性を示すと共に,解構造と戦略的操作性に関する成果を得た.グラフや順序構造に関する問題などにも取り組み,成果を得ている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り,確率的アルゴリズムにおける乱数の機能と効果の究明に向け,順調に研究を遂行できている.
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Strategy for Future Research Activity |
26年度までの成果を受け,継続して研究を発展させる.特に,ランダムウォーク脱乱択化は順調に成果を得てきており,継続して研究を進めつつ,新たな展開も図っている.並行して成果の国際会議発表や雑誌論文投稿を進める.乱択アルゴリズムの設計に関しては,特に順序構造を中心とする離散構造に着目した実用・理論の研究を進めており,これを継続する.
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Causes of Carryover |
海外研究者との研究打合せに行く十分な時間が確保できなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度の訪問もしくは招へい旅費として使用する.
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Research Products
(17 results)