2016 Fiscal Year Annual Research Report
センサベース行動パターン解析に基づく生活機能スコアの統計的予測
Project/Area Number |
25700026
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
下坂 正倫 東京工業大学, 情報理工学院, 准教授 (40431796)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 実世界情報処理 / 統計的行動情報処理 / 機械学習 / 行動センシング / 屋内測位 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の目的は,住宅内に設置したセンサとスマート携帯端末等で得られる人の行動に関するセンサ情報をもとに,生活機能スコアの統計的予測モデルを構築することである.今年度,これまでに開発したセンサシステムを利用して,10名を超える高齢者の生活データの収集と簡易なデータ解析を実施した.さらに,後述する統計的アルゴリズムを開発し,行動センシングシステムの改善を図った.
データ取得に関する成果を報告する.年度前半にフィージブルスタディとして数名の,年度後半に10名以上の高齢者の生活行動データを取得した.スマートフォンにて加速度,GPS等,スマートウォッチにて無線受信電波強度(BLEプロトコル)の取得,並行してアンケートベースと観察による生活機能調査データを取得した.生活機能と典型的な行動パターンに関して簡易的な解析を実施した.
行動センシングシステム由来の統計的アルゴリズムに関する成果を報告する.本課題では無線通信技術に基づく屋内測位を開発している.このシステムでは被験者居住環境にて運用前にフィンガープリント(受信電波強度情報と位置ラベルの対)データの収集が必要である.モニタリング環境へのビーコン設置から稼働までの時間が短いことが望ましい.この問題の部分的な解決として,「効率的データ収集」とよぶ,収集データサイズと測位性能のトレードオフカーブを改善する統計的アルゴリズムを構築した.データ取得1点あたりの性能向上の期待値を予測することで,逐次的に収集すべき場所を教示するアルゴリズムである.性能向上を正しくモデル化することが困難であるため,予測値の出力にベイズ最適化を利用し計算の簡素化を図った.この成果を当該分野トップ会議であるUbiComp2016にて発表した.ベイズ最適化は近年発展著しい研究領域の1つであるが,我々の知る限り,屋内測位に関して新たな応用範囲を示した世界初の成果である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
センシングシステムの開発,実際の高齢者生活行動データの取得,データ解析手法の開発の3点を並行して研究を進めてきている.行動センシングに関連するアルゴリズムについて数件の特筆すべき成果が出ており順調に進展している.また高齢者の生活行動データの取得も平成28年度,一定量のデータを取得できた.取得したデータに対する評価も実施し,行動データと生活機能の関係に関して知見が得られつつあるが,信頼性の高い知見の取得には今後改めてデータの取得や信頼度の高い解析が必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
システム・アルゴリズムに関して完成度を高めていくとともに,2016年度同様高齢者の生活行動データの取得を進め,知見の精錬に努めていく.
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Causes of Carryover |
平成28年度に実施した高齢者生活行動データ収集で支出した謝金額が,当初想定していた額よりも小さかったためである.その分,高齢者生活行動データの拡充を念頭に,本課題の研究実施期間を1年延長し,平成29年度に高齢者生活データの取得時に資金が不足することのないよう配慮し予算執行を進めた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度と同様に,高齢者生活行動データの取得を行う予定である.また,これまでの研究成果の対外発表に利用する.
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