2014 Fiscal Year Annual Research Report
風評被害の低減・抑止策の検討―福島第一原子力発電所事故の社会経済的被害の量的検討
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25700035
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関谷 直也 東京大学, 大学院情報学環, 特任准教授 (30422405)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 風評被害 / 東日本大震災 / 原子力事故 / 安全 / 社会調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は東京電力福島第一原子力発電所事故後の社会経済的影響のメカニズム・要因を実証的に検討し、風評被害の低減・抑止策を検討するものである。 本年度は、昨年度調査とほぼ同項目にて消費者を対象とした消費者調査を福島大学、超学際研究機構の諸氏とともに行った。また、福島県の流通事業者(卸売業者、仲卸業者、小売業者、納業者)に対してヒアリング調査を行い、福島県および東京都の流通事業者に対して量的アンケート調査を行った。なお、この過程で福島県産の農産物流通に「学校給食」が大きく影響を与えていることが明らかになったため、福島県内の給食関係者(教育委員会、学校給食センター)に対してヒアリング調査を行い、また福島県および東京都の給食実施者(自校式給食の小・中学校および給食センター)に対して量的アンケート調査を行った。福島県の現状に関する放射線量、消費行動の事実を周知すること、市場関係者に対して消費者心理の現状を再認識させ、消費者にかんする誤解をといていくこと、地産地消を増進させるための共通理解、フードコミュニケーションをすすめることが重要であることが明らかとなった。 本年度の研究を踏まえ、福島大学うつくしまふくしま未来支援センターとのシンポジウムを開催し、郡山市に対する提言なども行った。 また、風評被害およびそれに大きな影響を与えている原子力事故による避難など被災地の行政対応について調査を実施してきた。 本年度は、量的調査の詳細な分析を継続しつつ、風評被害低減のための施策を考えていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の枠組みで行っている研究、また本テーマに関連する調査も含めて、福島県の現状に精通している福島大学の農業経済学、フードシステム、消費者行動それぞれの研究者と協力しつつ福島県庁、郡山市役所の実務に携わる方々と議論・検討しながら調査を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
風評被害解決という社会的ニーズから、このテーマに関連する異分野の研究者との議論、共同での調査を行う機会が多くなってきている。これを踏まえて、詳細なデータを蓄積しつつ、様々な観点から分析を行うようにしているところである。 また、定点観測的調査については、本年度、人々の福島県産についての不安感が減じてきている傾向がみられることから、ここを注視しつつ最終年度の調査を行っていくとともに、調査研究の結果を広報し、流通業者や給食関係者の意識を変えるなど、東日本大震災以降の風評被害の低減を図っていく契機としたい。 本年度はこれらの調査研究の結果を踏まえ郡山市に提言を行うなど、社会還元もおこなってきた。最終年度は更にこのような取り組み広げていくつもりである。
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Causes of Carryover |
調査研究の進行上、国際比較調査を次年度に行うこととしたので。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に国際比較調査を行い使用する。
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Research Products
(10 results)