2014 Fiscal Year Annual Research Report
あらゆる環境のメタンの起源を推定するための炭素・水素安定同位体指標確立
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25701004
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
川口 慎介 独立行政法人海洋研究開発機構, 深海・地殻内生物圏研究分野, 研究員 (50553088)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メタン / 安定同位体 / 炭素同位体比 / 水素同位体比 / 生命の限界 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球生命(圏)の限界把握においてメタンの起源を推定することは重要な手段である。メタンの起源を推定するために安定同位体比指標は有用である。微生物が生成するメタンの水素・炭素安定同位体比の特徴およびそれを支配する要因を調べることを通じて,水素・炭素安定同位体比についてメタンの起源をより確からしく推定する指標として確立することを目指す。この目的を実現するため,水素ガスと二酸化炭素を基質としてメタンを生成物とするメタン生成微生物を培養し,生成したメタンの水素・炭素安定同位体比および培地に用いた水の水素同位体比,水素ガスの水素同位体比,二酸化炭素の炭素同位体比を分析した。なお培養実験には生育温度の異なる3種のメタン生成菌を用いた。同実験で用いた3種のメタン生成微生物それぞれの至適生育温度は25度・55度・70度であった。また先行研究によりメタン生成微生物の生育条件のうち,水素ガスの分圧が同位体分別の大きさを支配する重要因子であることが指摘されているため,2気圧の水素ガスを充填した培地と,水素ガス生成バクテリアとの共生関係を樹立させることで低い水素ガス分圧を維持する培地の2種類を設定した。気体成分の安定同位体比の分析には連続フロー型同位体比質量分析計を用いた。連続フロー型同位体比質量分析計についてはオートサンプラーを付設することにより分析の一部を自動化し,すべて手作業で分析する場合に比べ効率的に試料分析が実施できるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
微生物の培養および同位体比分析を実施し,結果をえている。分析を支援するスタッフを雇用し,分析のハイスループット体制が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
メタン菌培養と炭素・水素安定同位体比分析を引き続き実施するとともに,えられた結果をまとめ論文を執筆し投稿する。
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Causes of Carryover |
平成26年度は大量の培養・分析を実施するため物品費を計上していたが,所属機関の運営費交付金で実施する研究開発において調達した物品を転用することが可能であったため,次年度使用額が生じた。研究成果報告のため旅費を計上していたが,私事により出張が困難な状況に陥ったため,次年度使用額が生じた。同位体比質量分析計の故障に対応する修理費としてその他費用を計上していたが,平成26年度中には故障が発生しなかったため,次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は本計画の最終年度であり,培養および分析の体制が整っていることから,大量の消耗品を使用する。また成果の外部公表にかかる費用として使用する。
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Research Products
(1 results)