2015 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界流体プラズマを用いた二酸化炭素変換による光学機能性ナノグラフェン合成
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25701013
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
笘居 高明 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (80583351)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | グラフェン / 分離操作 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、CO2などの難再利用性廃棄物の還元による再資源化を目的とし、高温高圧電気化学反応を用いて、太陽電池などの光機能性デバイスに資する光学機能性半導体ナノグラフェンの合成システムを構築することを目的とする。 本年度の研究においては、単層カーボンナノチューブのカイラリティ分離に有効であるという報告がなされている、単一界面活性剤多段ゲルクロマトグラフィ法(SS-MUGEC法)を利用した、グラフェン構造の分離を実施した。 界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウムの2 wt%水溶液中にてカーボンナノファイバーを超音波処理により剥離し、遠心分離操作により回収したナノグラフェンに対して、SS-MUGEC法により構造分離を行った。アリルデキストランゲルを充填した複数のゲルカラムを垂直に連結し、最上段カラムにグラフェン分散液を加え、各カラムに吸着したグラフェンと、吸着せず流出したグラフェンとに分離・回収し、それぞれについてラマン散乱分光法やAFMを中心に構造を解析した。 ラマン分光法のスペクトルから、1段目カラムでの分離操作による2Dバンドピーク位置の低減を確認した。グラフェンは層数の減少に伴いピークが低波数シフトすることが知られており、層数による分離が示唆された。また、各カラム流通後に回収したグラフェンの DバンドとGバンドの強度比(ID/IG)の推移から、カラム2段目以降では、段数の増加に伴いID/IGが徐々に減少していることが確認でき、シートサイズが大きく欠陥の少ないグラフェンが選択的に回収可能であることが示された。この結果は、エッジや欠陥がグラフェン自身の表面エネルギーを変化させ、界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウムのグラフェン表面への吸着密度が変化したことに起因すると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請時の計画通り、ゲルクロマトグラフィ法によりグラフェン構造分離を実施し、これに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、難再利用性廃棄物の電気化学的還元によるグラフェン作製、及び、グラフェンの構造分離手法の確立を順調に進めている。 最終年度となる次年度においては、これらを組み合わせ、難再利用性廃棄物の還元による再資源化による光学機能性半導体ナノグラフェンの合成システム全体を構築する。 また、太陽電池や光化学触媒など、生成物の具体的応用についても検討を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画に加え、光学的・電気化学的機能評価を推進するための実験条件追加に当てる。
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