2013 Fiscal Year Annual Research Report
東北地域由来バイオマスを利活用した高機能性テキスタイルの創製
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25702002
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
高崎 緑 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (00402149)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バイオマス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、申請者らが最近開発した独自技術である「溶媒フリーのレーザーエレクトロスピニング法(Laser Electro Spinning: LES)法」を応用した類例の無い新手法により、東北地域由来セルロースを原料に用いたセルロース系ナノファイバーを作製し、さらにナノペーパーヤーンの創製および生理・薬理活性を付与した高機能性テキスタイルの創製へ発展させる。生理・薬理活性成分としては主に「桑」由来の1-デオキシノジリマイシン(1-DNJ)を用い、その他東北地域の天然物由来成生理・薬理活性成分も利活用する。最終的には、高機能性被服材料としての応用法を探索・確立する。 セルロース系ナノファイバーの創製にあたり、事前調査の過程でセルロースの中からバクテリアセルロースを選定し、その培養について試みた。具体的には酢酸菌を寒天培地に植菌することで培養した。バクテリアセルロースは培養の過程で三次元構造を形成し、強固な構造体となるため、その後微細化は困難である。そこで、培養時に可塑剤の添加を試みた。その結果、バクテリアセルロースの流動物が得られた。その流動物について予備的にスピニングしたところ、曳糸性が乏しく、ウェブを形成するに至らなかった。その後の調査も含め、セルロース系ファイバーの懸濁物はファイバー同士の凝集性が高いため、相溶系の試料調製や他のセルロース系ファイバーの選択が効果的である可能性が見出された。 予備調査等を重ねた結果、他の原料として、セルロース糖化ポリマーであるグルコース系ポリマーを用い、試料調製とスピニングを行った。レーザー出力依存性を検討した結果、レーザー出力が10 Wまではレーザー出力が大きくなるにつれて平均直径が小さくなり、6 W以上で極細化を達成することができた。また、レーザー出力と直径変動係数にはあまり依存性はなく、直径変動係数は17%以下となり、比較的均一な繊維を作製することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試料調製の検討、およびエレクトロスピニング法によるファイバー化プロセス構築を達成したため。
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Strategy for Future Research Activity |
エレクトロスピニング法で得られたファイバーについて1次元集合体および2次元集合体の作製方法について検討するとともに、薬理・生理活性成分の付与方法とその活性評価、ファイバー集合体の諸物性評価等を遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
外国への調査・研究の延期、および本研究を進めるにあたり当初購入予定であった物品に関して再検討の必要性・変更等が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬、ガラス器具等の物品、成果発表・調査旅費のための旅費、資料閲覧・外国語論文の校閲等の人件費・謝金、および通信費、機器の利用料等のその他の経費として使用する計画である。
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