2014 Fiscal Year Annual Research Report
「探求の共同体」の再構成によるデザインに基づいたPBL支援システムの開発と評価
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25702008
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 政寛 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (10466831)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 探究の共同体 / 社会的存在感 / 認知的存在感 / プロジェクト学習 / アクティブラーニング / 協調学習 / 学習コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では、これまで先行研究で示されてきた社会的存在感の再構成に基づく探究の共同体フレームワークの再検討、協調学習システムのデザインと探究の共同体フレームワークの関係性の検討を行った。社会的存在感の再構成については、山田・北村(2010)で示された3つの社会的存在感の定義(メディアの特徴に依存するタイプ、利用者の受容意識に基づくタイプ、利用者の発言内容に依存するタイプ)に基づき、質問紙による心理量データと発言データの2種類のデータを収集し、マルチレベルパス分析を行った。その結果、Withinレベルでは、メディアの特徴に基づく社会的存在感が発言内容に依存する社会的存在感へ影響することが示されたが、利用者の受容に基づく社会的存在感には影響が示されなかった。また発言内容に基づく社会的存在感が議論の活発化に影響していることが示された。Betweenレベルでは、メディアの特徴に基づく社会的存在感からの影響、利用者の受容に基づく社会的存在感への影響は示されず、発言内容に基づく社会的存在感から議論の活発化に有意に影響していることが示された。また協調学習システムのデザインと探究の共同体フレームワークの関係では、学習者中心であるため、教授的存在感の表出が限りなく少ないことが見込まれるため、社会的存在感と認知的存在感の2つの要素とシステムデザインの関係性について分析を行ったところ、事前に自分のアイデアを構築することや共同でコンセプトマップを作成すること、自分の発言に対して、「いいね」ボタンが押されることで、発言内容に依存する社会的存在感、ならびに認知的存在感に正の因果関係が示され、議論の貢献度や満足度にも間接的にポジティブな効果があることが示された。この結果に基づき、社会的存在感可視化機能を中心としたプロジェクト型学習支援システムのデザインを行い、開発を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
社会的存在感の関係性、探究の共同体フレームワークの再構築に関する実験については完了しており、システム開発が若干遅れているが、研究遂行に大きく影響するものではないため、おおむね順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度前期中に開発と形成的評価を完了させ、後期には実践評価を行っていく予定である。形成的評価の段階で、国際会議などで研究成果を公表し、実践評価のデータにて、論文投稿をする予定である。その後、本研究で開発したシステムは公開していく予定である。
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Causes of Carryover |
開発に取りかかるまでに、共同研究者と開発担当者の作業切り分けに時間がかかり、開発予算を消化できなかったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
既に開発は取りかかっており、順調に開発は行われている。そのため、開発のための予算は計画通りに使用される。
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