2014 Fiscal Year Annual Research Report
メカニカルストレスを基軸とする運動器障害の発生機序解明:リハビリテーションの再考
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25702032
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森山 英樹 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (10438111)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | メカニカルストレス / 運動器 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、メカニカルストレスの過剰と減弱に起因する運動器障害の発生機序を解明することである。この目的を達成するために、本年度は、メカニカルストレスの過剰及び減弱環境下での軟骨細胞の変性過程を調べた。メカニカルストレス過剰環境として、培養細胞伸展装置による伸張刺激を加えた。また不動状態が続く場合には、関節組織に対する重力の影響は、実質的にゼロに近くなるとされることから、メカニカルストレス減弱環境は微少重力環境とし、軟骨細胞をクリノスタットにおいた。マウス膝関節より採取した初代軟骨細胞を対象に、メカニカルストレスの過剰及び減弱環境開始0・12・24・48・72時間後に、軟骨細胞のアポトーシスと細胞周期のフローサイトメトリーを行った。その結果、メカニカルストレスの過剰及び減弱環境いずれでも、48時間以降に変性が始まった。そして、このメカニカルストレスの過剰及び減弱環境開始48時間後の軟骨細胞を対象に、メカニカルストレスの過剰及び減弱環境下で変動する遺伝子をマイクロアレイ法により網羅的に分析し、変性の原因となる候補遺伝子の同定を進めている。さらに、メカニカルストレスのみの影響を調べるための細胞レベルでの結果を基に、個体レベルでの現象を明らかにするために、実験動物モデルを確立した。本年度は、メカニカルストレスの減弱の動物モデルとして、尾部懸垂モデルと関節固定モデルを確立した。そのうち、尾部懸垂モデルを対象として、実験開始0・1・2・4・6・8週後の膝関節軟骨の組織学的分析を行った。その結果、脛骨関節軟骨の厚さが、実験期間の延長に伴い薄くなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書では、本年度までの2年間は、メカニカルストレスのみの影響を調べるための細胞培養実験を行うことになっていた。しかし、軟骨細胞を培養しているCO2インキュベーター内がコンタミしたため、それまでに培養していた軟骨細胞を廃棄するとともに、CO2インキュベーターの洗浄後、再度実験を行わなければならない事態が生じた。その間、軟骨細胞を増殖させる期間等の待機時間が生じるが、研究を遅らせないために、次年度以降に行う予定だった動物実験を開始した。これらのことで、細胞培養実験をすべて終えることはできなかったが、動物実験を開始できたため、交付申請書に記載した「研究目的」に対する全体としての達成度としては、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、当初計画通りに研究を遂行するために、メカニカルストレスのみの影響を調べるための細胞培養実験をすべて終え、メカニカルストレスの過剰と減弱の間の共通点と相違点、メカニカルストレスの程度とメカノトランスダクションの変化との関連を明らかにする。そして、本年度一部遂行したメカニカルストレスの減弱の動物モデルを対象とした実験を行い、生化学的・遺伝学的反応の局在において、恒常性が維持された状態から変性に至る経時的変化を調べ、細胞培養実験との相関を検証する。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していた実験のための物品購入費として確保していたが、当該物品の国内在庫がなかったため、残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残予算の53,000円は、次年度すぐに当該物品の購入にあて、予定していた実験を行う予定である。
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