2015 Fiscal Year Annual Research Report
メカニカルストレスを基軸とする運動器障害の発生機序解明:リハビリテーションの再考
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25702032
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森山 英樹 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (10438111)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | メカニカルストレス / 運動器 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、メカニカルストレスの過剰と減弱に起因する運動器障害の発生機序を解明することである。 この目的を達成するために、本年度は先ず、メカニカルストレスの過剰及び減弱環境下での軟骨細胞の変性の原因となる遺伝子とシグナル伝達経路を同定した。メカニカルストレスの過剰環境では、5遺伝子の発現が上昇し、14遺伝子が低下した。そして、これに関与する9つのシグナル伝達経路を同定した。またメカニカルストレスの減弱環境では、9遺伝子の発現が上昇し、20遺伝子が低下した。そして、これに関与する5つのシグナル伝達経路を同定した。 次に、マウス後肢非荷重モデルおよび膝関節固定モデルを用いて、メカニカルストレスの減弱環境におけるin vivoでの関節軟骨の変化を調べた。その結果、軟骨細胞数は変わらなかったが、厚さが減少した。2種類の動物モデルではともに、関節面が接触しない領域での関節軟骨の菲薄化が著しかったことから、関節軟骨の厚さの維持には、関節面の接触が重要な役割を担っていることが示唆された。この関節軟骨の菲薄化は、活性化した破骨細胞が骨端部全体の骨委縮を引き起こし、さらに関節軟骨の軟骨基質をも吸収することに起因していた。また、メカニカルストレスの減弱環境に曝された軟骨細胞は、肥大分化を経ずに、関節軟骨を変性させうることも明らかになり、過剰なメカニカルストレスを原因のひとつとする変形性関節症とは異なる病態である可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、細胞培養実験と動物実験に大別され、それぞれにメカニカルストレスの過剰環境と減弱環境がある。細胞培養実験とメカニカルストレスの減弱環境の動物実験は終了し、残すはメカニカルストレスの過剰環境の動物実験のみである。そのため、本研究目的に対する全体としての達成度としては、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、当初計画通りに研究を遂行するために、年度前半で、メカニカルストレスの過剰環境の動物実験を行う。年度後半では、すべての実験結果を統合し、メカニカルストレスの過剰と減弱の間の共通点と相違点、メカニカルストレスの程度とメカノトランスダクションの変化の関連について、得られた結果を取りまとめ学会発表及び論文発表を行う。
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Causes of Carryover |
年度末に引き落とされる共通実験施設使用料と動物処理費を見込みで確保していたが、予定よりも少額で済んだため、残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残予算は2,603円であり、本研究の実施に多大な影響を与えるものではないと考える。この残予算は、本研究に関わる消耗品の購入にあてる予定である。
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