2015 Fiscal Year Annual Research Report
ウォームアップ効果の生理学的機序の解明と競技特性に合致したプロトコルの確立
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25702038
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
宮本 直和 鹿屋体育大学, その他部局等, 准教授 (20420408)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ウォームアップ / 筋疲労 / ストレッチング / 筋硬度 / 筋活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
アスリートらが競技前に行う準備運動(ウォームアップ)は、科学的根拠が欠如しているため、経験に基づき決められていることが多い。ウォームアップにて行われる運動の代表例としてストレッチングがあるが、ストレッチングによって筋や腱が軟らかくなるのかどうか、また、それに伴いスポーツパフォーマンスが向上するのかどうかは不明な点が多い。そこで、27年度は、スポーツやリハビリテーションの現場にて頻繁に行われる、下腿三頭筋やハムストリングに対する静的ストレッチを対象に、その効果検証を行った。下腿三頭筋を対象としたストレッチングを行った場合、腓腹筋内側頭は軟らかくなったが、腓腹筋外側頭およびヒラメ筋に対する効果は認められなかった。また、アキレス腱については、弛み(slack)が増したが、弛みを考慮した際の硬さに変化は見られなかった。股関節と膝関節を跨ぐ二関節筋であるハムストリングを対象とした場合、受動的な膝関節伸展によるストレッチングを行うとハムストリング全ての筋(大腿二頭筋長頭、半腱様筋、半膜様筋)が軟らかくなるが、受動的な股関節屈曲によるストレッチングを行った場合は、半腱様筋と半膜様筋は軟らかくなるものの、大腿二頭筋長頭の硬さは変化しない。これらの結果は、ストレッチングを行ったとしても対象とする筋全てに対して効果が認められるわけではなく、効果が認められる筋は限定されることを示唆している。また、障害予防を目的としたストレッチングを行う場合、肉離れ好発部位である大腿二頭筋長頭を軟らかくするためには、一般的に行われている股関節屈曲によるストレッチングではなく、膝関節伸展によるストレッチングを行わなければならないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度および26年度はやや遅れていたが、27年度はその遅れをある程度取り戻すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
過去3年間の研究により見つかった新たな研究課題を解決すべく取り組む。
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Causes of Carryover |
当初購入予定であった機器が既に備わっていたため直接経費を節約することができたため。また、本研究課題採択時(平成25年4月)に研究代表者が異動し、それに伴い25年度に研究員を雇用できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
3年間の研究実施に伴い見つかった新たな研究課題を解決すべく追加研究を行い、その際の謝金(研究員雇用、被験者謝金)、消耗品、研究成果発表に使用する。
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