2013 Fiscal Year Annual Research Report
陸棲哺乳類の産生する麻痺性神経毒およびプロテアーゼの構造と機能
Project/Area Number |
25702047
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
北 将樹 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (30335012)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 天然物化学 / 神経毒 / 単離と構造 / 生物活性 / プロテアーゼ |
Research Abstract |
有毒哺乳動物トガリネズミおよびソレノドン由来の特異な麻痺性神経毒の構造や機能の解明を目指して、本年度は以下の研究を実施した。 1. ブラリナトガリネズミ顎下腺由来の麻痺性神経毒:これまでにマウス脳内投与により痙攣作用を引き起こすことを確認した顎下腺抽出物の低分子成分について,セミミクロ逆相HPLCにより精密に分離し、分子量5.1~5.7 kDaの3種類のホモログを単一ピークとして精製した。酵素消化やN末シーケンス解析を試みている。また初年度に導入した蛍光顕微鏡システムを用いたCaイメージングアッセイを立ち上げ、生物活性評価の検討も進めている。 2.国内トガリネズミ類の唾液・唾液腺成分の解析:動物園,水族館,および実験動物学の専門家などの協力を得て,国内に生息するスンクス(ジャコウネズミ),カワネズミ,およびチビトガリネズミの唾液や顎下腺の採取に成功した。カワネズミの顎下腺抽出物について生物活性評価を行い、北米産のトガリネズミで見られるマウス急性毒性や痙攣・麻痺作用は示さないことがわかった。組織からの抽出過程で活性成分が失活したことが示唆されるため、今後は唾液成分の活性評価と微量構造解析を検討する。 3. ソレノドンの唾液に含まれる特異な有毒物質:唾液の低分子神経毒成分の同定を目指して、限外ろ過によりプロテアーゼ活性を示す高分子画分を分離し、さらにセミミクロHPLC精製により、数種のペプチド成分の精製に成功した。生物活性評価およびMS/MS解析を現在進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、生細胞イメージング装置を初年度に導入し、また研究遂行に必要な野生動物からの生体試料を得ることにも成功した。所属研究機関の耐震補強工事・ラボ移転などで実験研究に少し遅れが出ているが、近日中に移転作業は終了し、本格的な実験が再開できる見込みのため、期間内で計画達成はできる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
バイオアッセイ法を工夫し、有望な生物活性リガンドの早期発見と構造活性相関研究を効率的に進める。その達成のため、電気生理や遺伝子クローニングなど、実験技法に卓越した共同研究者との連携を一掃深める計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究室の耐震工事、ラボ移転作業の関係で、予定していた実験研究が一部実施できなかったため。 物品費(ガラス・プラスチック器具など実験器具消耗品)として使用する予定である。
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Research Products
(23 results)