2013 Fiscal Year Annual Research Report
第二次世界大戦に関する新たな視座構築を目指した日本=アフリカ間の双方向的研究
Project/Area Number |
25704010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
溝辺 泰雄 明治大学, 国際日本学部, 准教授 (80401446)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アフリカ史 / 第二次世界大戦 / プロパガンダ / 植民地支配 / 日本人抑留者 |
Research Abstract |
本研究の主目的は、第二次世界大戦(以下、第二次大戦とする)期の日本とアフリカにおける「アフリカ観」と「日本観」の変遷を、a.日本とアフリカ双方の言論メディアの報道・記述と、b.インド=ビルマ戦線における「意図せざる交戦」に関わった兵士たちの記録・記憶を通して、分析・検討することにある。 上記の目的を達成するために、研究初年度にあたる平成25年度は「アフリカと日本の元従軍兵士およびその関係者への聞き取り調査」のための準備調査を行なった。具体的には、まず日本国内の状況についてその事前調査として国立国会図書館等での文献調査を実施した。アフリカ側の元従軍兵士に関しては、9月に実施したナイジェリアにおける現地調査の際に、これまで研究交流を続けているナイジェリア大学のC.C.オパタ講師よりナイジェリア東南部地域の元従軍兵士に関する情報提供を受け、本格的な調査を実施するために同講師との間で緊密に情報交換を続けている。 平成25年度は上記の活動に加え、8-9月にガーナ、10-11月にケニア、マラウィ、さらに3月に再度ケニアでの資料調査を実施した。特にガーナでの資料調査では、第二次大戦期の植民地体制の末端に位置づけられる地区レベルでの徴兵の実態を知る為の重要な史料を得た。さらにケニアでの調査では、第二次大戦期の日本人捕虜の存在を示す史料の存在を確認したのに加え、同時期の米国籍の日本人(日系米国人)船員の取扱いに関する植民地と本国政府のやり取りを記した史料の存在も確認することができた。 研究発表に関しては、ジンバブウェ国立公文書館において収集した第二次大戦期にインド=ビルマ戦線に派遣されたアフリカ系兵士が書き記したとされる日記群の前半部分の日本語訳が査読を経て研究誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は第二次大戦期の日本とアフリカの関係を日本側とアフリカ側から検証する試みであるが、これまでのところ当初計画通り、ナイジェリア大学のオパタ講師との研究上の協力も得て、アフリカの元従軍兵士に関する情報も収集されつつある。また、同時期のケニア、マラウィ、ガーナにおける現地メディア及び植民地政府公文書の調査活動も積極的に実施し、アフリカ系兵士の徴兵活動や日本人抑留者に関する情報も当初見込んでいた以上に集まりつつある。本研究の最終目標は、収集した情報を整理・分析した結果を公表することにあり、そのための準備段階としての情報収集活動は現在のところ順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目にあたる平成26年度は、初年度に実施した調査の追加調査に加え、アフリカで発行された新聞等の言論メディアに表出する「日本」関連情報の収集・整理と植民地政府が発行した宣伝パンフレット・ラジオ放送原稿の収集・整理を進める予定である。報告者はこれまでの研究で、ガーナ及びケニアの文書館・資料館における史資料調査をほぼ完了させている。そのため本研究では、同じく多くのアフリカ人兵士をインド=ビルマ戦線に送り出した東南部アフリカ(ジンバブウェ、ザンビア、マラウィ)を重点地域として、史資料調査を実施する。この調査は主に9月と3月に実施する予定である。さらに、国内外の研究集会において、これまでの研究成果を発表するとともに、海外の研究者との研究ネットワークの構築にも注力する。
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