2015 Fiscal Year Annual Research Report
スカンディナヴィアとその影響圏におけるルーン石碑の総合研究
Project/Area Number |
25704012
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
小澤 実 立教大学, 文学部, 准教授 (90467259)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | スカンディナヴィア / ルーン / ヴァイキング / デンマーク / アイスランド / ロシア / 中西 / 石碑 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、過年度よりすすめているスカンディナヴィア全土のルーン石碑のデータ整理を継続するとともに、中間成果の口頭報告と成果の活字発表に集中した。 特筆すべき活字成果として、英語論文「Why did Skarde raise a rune stone?」、論文「交渉するヴァイキング商人」、編著『アイスランド・グリーンランド・北極をしるための65章』、編著『北西ユーラシアの歴史空間』をあげることができる。「Why...」では、研究代表者が構築した石碑分析手法にのっとり、デンマークに残るあるルーン石碑を分析することで、石碑を通じて血縁関係のない臣下を顕彰することで戦士集団の忠誠心を高めるという、国王による石碑の政治利用についての一側面を明らかにし得た。「交渉するヴァイキング商人」では、古ロシア語テクストの分析を通じて、スカンディナヴィア人とビザンツ世界との交易の一端を明らかとした。『アイスランド...』では、当該地域を論じる際の枠組みを前書きで述べ、ルーンならびにルーン石碑の受容にとって重要な意味を持ちうるアイスランドの歴史についての幾つかの側面を記述した。『北西ユーラシアの歴史空間』では、序章においてロシアが生成するそのありかたを問い直す際の視点を整理し、第3章では、ロシアに残るルーン石碑の文言を分析しながら、当該時地域におけるスカンディナヴィア人の活動がキエフ・ルーシの形成にとって貢献した点を明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査が継続されているとともに、中間成果である活字業績も複数刊行されているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
海外研究者との連携を推進するため、2016年度には、海外学会への参加と、海外研究者との国際ワークショップでの報告を計画している。
|
Causes of Carryover |
次年度イギリスで開催される国際会議Viking World: Diversity and Change(6月27-7月2日)、国際ワークショップDecoding the historical sources on the Byzantine empire(7月23日)ならびに国際会議Medieval Papacy: governance, communication and cultural exchange(2月17ー19日)での経費が予定額以上に生じるため、本年度分の基金の使用を一部制限し、当該分を次年度に振り分ける必要が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
イギリスで開催される国際会議Viking World: Diversity and Change(6月27-7月2日)に出席するため旅費・滞在費・参加費など、国際ワークショップDecoding the historical sources on the Byzantine empire(7月23日)ならびに国際会議Medieval Papacy: governance, communication and cultural exchange(2月17ー19日)での論文校正費用などに使用する。
|