2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25705010
|
Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
鷹岡 澄子 成蹊大学, 経済学部, 教授 (10361677)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 企業金融 / 法の経済分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、本邦社債市場の発行市場と流通市場の両方のデータベースを作成し、分析した。また、社債発行企業の財務データや格付履歴のデータベースも作成し、分析を行った。 本邦社債流通市場では、マイカルが2001年に経営破たんして以降、スルガコーポレーションがデフォルトを起こす2008年までの7年間、日本社債市場ではデフォルトは起こっていなかった。しかし、2008年からエルピーダメモリ、スルガコーポレーション、ゼファー、アーバンコーポレーションなど、社債のデフォルトが相次いだ。該当社債のスプレッド(同じ残存期間の国債との利回り差)はきわめて大きく、格付けで説明できない部分が大きくなっている。また、現在の本邦社債市場での発行企業の保持する格付けが全般的に低くなっている。以前はAAA格を有する発行企業が複数存在したが、現在ではAAA格を有する発行企業は無く、全体的にダウングレードしている。つまり、各発行企業にとって、資金調達コストが全体的にあがっていることになる。ただ、各格付けのスプレッドを時系列でみると、下降傾向がある。 社債発行市場においては、2011年3月11日の東日本大震災以降、それまで主な発行企業であった電力会社の発行が減少した。また、REITのように発行金額が小さく、格付けに対してスプレッドが大きい発行体による社債発行も増えている。ここ1,2年は電力会社による発行が戻ってきているが、発行額が大きかった東京電力が発行していないこともあり、発行市場におけるプレーヤーの変化が大きい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画に基づいて、社債の流通市場のデータベースを主に作成し、関連する企業とデータ・銀行データ・監査法人データなどでデータベースを作成していた。しかし、社債発行市場の分析も必要と判断したために、昨年度は社債発行市場のデータベースを新たに作成した。そのため、分析対象や内容は当初の計画より拡充し、より良いものになったと思うが、結果を論文としてまとめる作業が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
既に構築したデータベースをもとに、社債流通市場・発行市場における東日本大震災の影響を調べるととともに、企業と銀行の関係の価値も分析する。現在、長期のパネルデータとしてデータベースを構築しているが、企業のホールディングカンパニー化などで発行体の非上場化や合併など企業体の変化が多い。銀行や監査法人との関係をマッチングさせるにあたり、継続性を測る際に注意しながら、分析をまとめる。 企業と銀行の関係のみならず、監査法人市場も日本特有の側面がある。海外先行研究をベースモデルとしつつも、日本の企業と銀行関係、また監査法人との関係をうまくあらわすようなモデル構築する予定である。 構築したモデルから得られた結果をまとめて、今年度中に国際学会や国際学術雑誌に投稿していく予定である。また、随時モデルや推定方法を改善していく予定である。
|