2015 Fiscal Year Annual Research Report
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25705010
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
鷹岡 澄子 成蹊大学, 経済学部, 教授 (10361677)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 企業金融 / 非伝統的金融政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、平成26年度に作成した本邦社債市場の発行市場データベースを更新・拡張して分析結果をまとめた。具体的には、発行企業の個別銀行との借入金や持株状況のデータをマッチングしてデータセットを拡張した。 分析結果を大別すると以下の2点となる。銀行系証券会社は社債引受市場に参入した当時は、安い手数料で引き受けていたことが既存研究より示されている。しかし、本研究においてそのような効果は示されなかった。発行市場におけるスプレッド・手数料ともに、銀行系証券会社と独立系証券会社との間に有意な差が無いことが分かった。これは、銀行系証券会社が証券市場での経験やマーケットシェアを確立したことが背景にある。 次に、当初は本邦社債市場の流通市場に影響があると思われていた、非伝統的金融政策が発行市場にも影響を与えていることが分かった。社債発行市場における発行スプレッドが量的・質的金融緩和によって、今までのスプレッド決定モデルが変化した。量的・質的金融緩和をモデルにおいて考慮することが重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までで、一般担保付社債の分析や東日本大震災の社債発行市場への影響をまとめた論文を執筆した。最初の計画では、企業と銀行の関係に焦点をあてていたが、実際には銀行のみならず社債市場のステークホルダーを考慮しないといけないことが分かり、データセットの拡充に非常に時間がかかった。昨年度は更新・拡張を続けながらも分析結果を論文としてまとめることができた。それらは今年度の国内・国際学会での報告が決まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で本邦社債市場の長期パネルデータセットが完成している。但し、昨今の発行企業のホールディングカンパニー化に伴う発行体の非上場化や発行体同士の合併など企業体の変化が多いために、データセットの拡張をまだ完成していない。銀行と企業の関係を個別銀行との借入金関係でみることにも、シンジケートローンが増えてきたことによって限界がある。そのため今年度は企業と銀行との関係にシンジケートローンも考慮に入れて、データセットを今年度の早い時期に完成させたい。 今年度は最終年度となるために、データベースの更新・拡張を行うとともに、より一層論文をまとめる作業に重点を置く。具体的には、論文を国際学会や国際学術雑誌に投稿していく予定である。
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Research Products
(2 results)