2015 Fiscal Year Annual Research Report
グローバルなビジネス・エコシステムにおけるプラットフォーム競争戦略の成功要因
Project/Area Number |
25705011
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
立本 博文 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (80361674)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 競争戦略 / ビジネスエコシステム / プラットフォーム戦略 / 標準化 / グローバル戦略 / 新興国企業 / 国際競争力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は2000年頃に工場デザインや製造装置の標準化をおこなった半導体製造装置産業をとりあげ、プラットフォーム戦略の効果を実証的に検証した。研究計画書で提案した日本初のプラットフォームであるcc-linkは、昨年度の調査から半導体製造装置のFAネットワークで頻繁に利用されていることが判明した。プラットフォーム戦略の効果を定量的に把握するため、研究対象をcc-linkから広げて半導体製造装置のエコシステムとした。半導体製造には複数種類の半導体製造装置の技術世代をそろえる必要性がある。そのため互換標準化が必要となり、2000年頃にオープン標準が策定され、半導体製造装置プラットフォーム企業は競争力を拡大した。この現象を半導体製造装置の取引ネットワークデータと市場成果データを用いて実証分析を行った。その結果、プラットフォーム戦略はオープン標準対応製品を普及させることで市場成果を拡大するが、それには条件があり、新興国向け販売率が大きくないと効果を発揮しないことがわかった。この研究結果は2016年組織学会での発表が決定し、さらに学術誌への投稿を検討している。本年度は、加えて、iモードの国際展開についても昨年までのフィールド調査の成果をまとめて論文化を試みた。iモードの国際展開に関しては、国内でビジネスエコシステム形成に成功したが、海外展開の際にはそのビジネスモデルを変更しなくてはならない事例であった。このような困難は新幹線や水素燃料自動車などの社会インフラ産業で頻繁に起こる危険性があり、どのようにこの困難を乗り越えることが可能であるのかを考察した。本年度は、これらの成果の他に、片岡・立本(2016)でグローバル競争と地域クラスターの関係について学術誌で発表した。また2015年度の国際ビジネス研究学会において加藤・立本で、傾向スコアをもちいた国際提携戦略の実証分析について発表を行った。
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