2013 Fiscal Year Annual Research Report
コミュニケーション障害の支援に向けた脳オシレーション解析による評価法の提案
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25705027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
軍司 敦子 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所知的障害研究部, 室長 (70392446)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 非侵襲脳機能測定 / 脳磁図(MEG) / 脳波(EEG) / 障害児生理・心理 / 神経科学 / 認知 |
Research Abstract |
ヒトの脳オシレーションについて機能局在を明らかにするため,平成25年度は,健常成人を対象に安静状態における脳磁図記録の環境整備および計測をおこなった.これをもとに,平成26年度以降に実施を予定している定型発達と想定される子ども(就学以降)や臨床例を対象とした解析法のプロトコルを検討した. さらに,脳オシレーション記録にともなう準備の時短化を目指した環境も整備した.脳磁図や脳波の発生源を推定するためには,対象の頭部MRI画像と脳磁図センサーや脳波電極の空間情報を合せる必要がある.すなわち,計測時の対象の頭部の位置情報登録における誤差を最小にすることが,データ解析の精度を飛躍的に向上させる.しかしながら,これまでは登録作業に5-15分ほど要したため,子どもや臨床例が対象の場合,誤差が大きくなりがちで,しばしばデータ解析が不可能となる事態に陥った.平成25年度は,頭部位置情報の登録に非接触3次元デジタイザを導入することによって,時短化を目指した記録法プロトコルの改良をおこなった. また,子どもや臨床例を対象としたデータ収集に先立ち,コミュニケーションに関わる認知・行動発達の評価項目選定について,標準化された心理検査や行動観察法,脳機能情報解析法から検討をおこない,一部の成果は公表された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度のおもな研究実施計画のうち,健常成人を対象に安静状態における脳磁図記録の環境整備と計測,および,脳オシレーション記録にともなう準備の時短化を目指した環境の整備について,概ね目標を達成したため,概ね順調に進展しているといえる. なお,定型発達と想定される子ども(就学以降)や臨床例を被検対象とした,計測環境やデータ解析,コミュニケーションに関わる認知・行動発達の評価項目の選定についてもほぼ整備したといえるが,実際に子どもや臨床例のデータ収集を通じて改良する必要があるため,平成26年度計画に挙げた「子どもと臨床群の脳磁図と脳波の安静時データ収集」を通じて,目標の達成に努める予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に策定した脳オシレーションの記録・解析プロトコルにしたがい,子どもと臨床群の脳磁図と脳波の安静時データ収集を開始する. また,平成25年度に策定したコミュニケーションに関わる認知・行動発達の評価項目を参照して心理検査や行動観察法,脳機能情報解析法を用いて,対象のデータ収集を開始する.対象は,定型発達児および健常成人,コミュニケーションにつまずきのある臨床例とする. 脳磁図と脳波の発生源推定に際しては,本研究では脳の全領域が解析対象となるため,従来の単一双極子による推定法が適切とは限らない.そこで本研究では,空間フィルタ法(statistical parametric mapping: SPM, Minimum Norm Estimation: MNE, adaptive beamformer)も適用して,機能局在毎の脳オシレーションマッピングを作成し,これを基準にコミュニケーションに特異的な脳オシレーション変化を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初,脳機能検査および行動観察の際に,刺激(課題)を呈示するための機器購入を予定していたが,物流の混雑のため,物品の納品が年度末に間に合わないことが判明したため,本年度の使用を一部,見合わせた. 次年度早々に,脳機能検査および行動観察の際に,刺激(課題)を呈示するための機器購入の発注をおこない,データ収集の環境整備に努める.
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Research Products
(11 results)