2013 Fiscal Year Annual Research Report
メゾ金属らせん構造アレイによるキラルメタマテリアル材料の創製
Project/Area Number |
25706006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
樋口 剛志 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (50547304)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | トリブロック共重合体 / Click反応 / アニオン重合 / ミクロ相分離構造 / らせん構造 |
Research Abstract |
本研究の目的としているメゾ金属らせん構造アレイを作製する上で、最も重要かつ前例のない検討課題であるトリブロックコポリマーが形成するらせん構造の巻き方向制御を実現するため、トリブロックコポリマー中の1つのジャンクションポイントに官能基の導入を試みた。 具体的には、らせん構造を形成する直鎖型トリブロックポリマー(Poly(styrene-b-2-vinylpyridine-b-methylmethacrylate, PS-b-P2VP-b-PMMA))を合成する時に、シリンダー相を形成するPSブロックと2重らせん構造を形成するP2VPブロック間のジャンクションポイントにClick反応が可能なアルキンを導入を試みた。リビングアニオン重合によりPSブロックを重合し、停止反応時にtert-ブチルジメチルシリル基で保護したアルキンを有する1,1-ジフェニルエチレンを用いることで、PSブロックの末端に保護されたアルキンの導入に成功した。その後、P2VPブロックおよびPMMAブロックをリビングアニオン重合により合成した後、tert-ブチルジメチルシリル基を脱保護することで、目的としているブロックコポリマー中の1つのジャンクションポイントにClick反応が可能なアルキンを有するトリブロックコポリマーを得ることができた。 合成したトリブロックコポリマーのミクロ相分離構造を確認するため、トルエン溶液からキャストフィルムを成膜し、溶媒アニーリングを行った後に内部構造の観察を透過型電子顕微鏡により行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的としているメゾ金属らせん構造アレイを作製する上で、最大の重要課題であり、また早期に達成しなければならない課題であるトリブロックコポリマーが形成するらせん構造の巻き方向制御を実現するため、そのベースとなるジャンクションポイントに後からキラル分子をアルキンーアジドClick反応により導入可能なトリブロックコポリマーの合成に成功しており、当初の計画にほぼ沿った形で研究が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に引き続いて、トリブロック共重合体が形成する2重らせん構造の巻き方向制御に取り組む。特に、キラル分子のバリエーションを増やして知見を得る。 また2重らせん構造の巻き方向制御に加えて、らせん構造の金属化にも着手する。具体的には、らせん構造を形成しているP2VPと金属種のイオン(銀、金等)と錯形成させた後、還元剤または光を用いて金属へと還元することによって、らせん構造の選択的な金属化を行う。金属イオンとの錯形成方法としては、塩化金酸をテトラヒドロフランに溶解させ、トリブロックコポリマー溶液と混合することで、ミクロ相分離構造の形成と同時に錯化を行う方法と、ミクロ相分離構造を形成させた後にブロックコポリマーフィルムを金属イオンを含む溶液に浸漬する方法とを検討する。らせん構造の金属化は透過型電子顕微鏡観察に加えて、導電性原子間力顕微鏡を用いて、らせん構造が導通しているかどうかを調べる。らせん構造の導通が確認された場合、メゾ金属らせん構造アレイに由来する光学特性の評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
トリブロックコポリマーの合成にかかる費用が当初の見積もりよりも抑えることができたため、次年度に使用するトリブロックコポリマーの購入費用として物品費を使用予定である。また、研究調査費として計上していた旅費に関して当初の予定よりも抑えることができたため、次年度の成果発表費用として使用予定である。 物品費に関しては、平成26年度に使用するトリブロックコポリマーの購入費用に使用予定である。また、旅費に関しては、平成26年度の成果発表に使用予定である。
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