2015 Fiscal Year Annual Research Report
In系窒化物混晶半導体材料に関する結晶成長基盤技術の高度化
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25706020
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
山口 智広 工学院大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50454517)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 結晶成長 / MBE、エピタキシャル / 電子・電気材料 / 半導体物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高品質In系窒化物混晶半導体結晶を再現性良く得るための結晶成長メカニズムの解明および制御を行い、結晶成長基盤技術の高度化を図ることを研究目的としている。 これまでの研究において、p-InGaN/n-InGaNの結晶成長の実現とpn-InGaNホモエピタキシャル構造を用いたLEDの試作を行ってきたが、同LED素子におけるリーク電流の多さが顕著であった。 今年度は、この問題点をふまえ、また、結晶成長基盤技術の更なる高度化に向け、特にヘテロエピタキシャル成長時の初期成長過程の制御手法(特に結晶緩和過程制御の問題)と高品位結晶実現のための成長方法を探るべく、Spring-8にある結晶成長中のその場X線回折が行えるMBE装置を用いた実験を実施した。GaN下地層上InGaN成長時のその場逆格子マッピング測定を通して、各成長時間(薄膜堆積量)におけるInGaN膜へのIn取り込み量とInGaN膜の緩和率を独立して求めることに成功した。また、その結果からInGaNは歪みの影響をうけ初期成長時にはInがInGaN結晶膜内に入りにくい現象を確認した。さらに、下地条件を変えることにより、その現象に変化が生じることも確認した。これにより、RHEEDを用いたその場観察技術では評価できなかった新しい知見を得ることのできるその場X線回折法の有効性を示すことができた。 結晶成長中のRHEED、X線回折法を用いることにより、格子不整合率の大きなIn系窒化物半導体材料におけるヘテロエピタキシャル成長時の理想的な初期成長過程制御技術の確立とそれに伴う高品位結晶実現のための成長方法の確立が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、結晶成長については十分な成果を残すことができなかったが、現在の結晶成長の問題点を把握し、その問題点を解決するための新しい結晶成長その場評価法としてその場X線回折法に着目し、同実験を実施できるSpring-8のMBE装置を用いて実験を行った。 これまでの成長基盤技術(DERI法)を活用することにより、結晶成長装置の違いに寄らず容易に結晶成長を実現し、また上記「研究実績の概要」に記載の通りの成果をあげることができた。 以上のように、今年度は、MBE結晶成長に新たなその場観察手法をとりいれ、その有効性を示すことができたため、全体の達成度として、おおむね順調に進んでいると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
MBE結晶成長におけるその場X線回折測定は、その場RHEED観察だけでは分からない新しい情報を与えた。これにより、格子不整合率の大きなIn系窒化物半導体材料のヘテロエピタキシャル成長時において、例えばInGaNの厚膜化を図る上でどのように結晶を緩和させるか、逆に量子井戸形成時にはどのように結晶緩和を抑制するか、また、その時のInの取り込み揺らぎがどのようになっており、どのように制御できるか、などの問題点・課題点を、その場X線回折測定を用いたMBE成長により解決していくことができると期待される。 今後も、その場X線回折測定を用いたMBE成長を実施していく予定である。
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Research Products
(11 results)