2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25707002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
谷口 隆 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60422391)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 代数群の整数論 / 概均質ベクトル空間 / 余正則空間 / ゼータ関数 / 多重ディリクレ級数 / 密度定理 / 国際情報交換,米国 |
Research Abstract |
主な成果は次の2つである.(A) 2次体の族におけるイデアル類群の3等分点の分布を調べ,数え関数の誤差項の評価を改良した.(B)3次環のゼータ関数を数える二重Dirichlet級数について調べ,係数の上からの評価や局所ゼータ関数の計算を進めた.なお,(A)は Manjul Bhargava 氏(プリンストン大),Frank Thorne 氏(サウスカロライナ大)との,(B)は Gautam Chinta 氏(ニューヨーク大)との共同研究である. (A)について:ゼータ関数を使うことで,かなりよい評価を得た.誤差項の冪指数は以前は17/22だったが,これを11/16にまで下げることができた.密度定理を示すもう一つのアプローチとして「数の幾何」を使う方法があるが,この場合は3/4が限界値と考えられているので,ゼータ関数を使う手法のアドバンテージを示すことができた.この成果について現在論文を執筆中である. (B)について:この二重ディリクレ級数は,ある10次元の可約な概均質ベクトル空間から定まる2変数のゼータ関数である.3次体の族について豊富な情報を内包していると考えて注目している.局所ゼータ関数は複雑だが,適当に特殊化した場合は明示公式が知られているので,一般の場合の明示公式を計算できる可能性がある.それを計算するよい道筋を立てることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成果の(A)について.ゼータ関数を用いる以外のもう一つのアプローチとして,「数の幾何」を使う方法が知られているが,この方法では誤差項の冪指数は3/4が限界値であると考えられている.今回は3/4より小さい11/16を得たので,ゼータ関数を使う手法のアドバンテージを示すことができた. 成果の(B)について.整数論的に興味深いゼータ関数を研究するよい道筋を立てることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
3次環のゼータ関数を数える二重ディリクレ級数について,共同研究者の Gautam Chinta 氏(ニューヨーク大)と緊密に連絡をとりながら,さらに研究を進める.主に留数や関数等式,局所ゼータ関数の明示公式を研究する.また,親交のある Jun Wen 氏(ストーニーブルク大)によって, Weyl 群の多重ディリクレ級数と概均質ベクトル空間のゼータ関数が一致しているケースが新たに発見されたので,両者の関係についてより深く検討する. また,余正則空間の研究も本格的に始める.2元4次形式の空間について,数の幾何により密度定理の改良を考え,それをゼータ積分によって解釈できないか調べる.また,軌道ガウス和についても計算を進める. 上述の重要で基本的な具体例について研究が進んだ後は,より多様な概均質ベクトル空間・余正則空間について研究に取り掛かる. これらの研究を進めるために,さまざまな技法から代数群の整数論を研究している若手研究者を海外研究協力者として,連携を密に取りながら研究を進める.また,活発な研究を行っている様々な関連分野の国内若手研究者とも研究討論を行う.このために,研究代表者が国内外の渡航を何度か行う他,ある程度の期間にわたって複数の国内外の研究者を招聘して研究活動を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費を効率的に使用し,残額が発生した. 研究代表者を中心として,さまざまな技法から代数群の整数論を研究している若手研究者を海外研究協力者として,連携を密に取りながら研究を進める.また,活発な研究を行っている様々な関連分野の国内若手研究者とも研究討論を行う.このために,研究代表者が国内外の渡航を何度か行う他,ある程度の期間にわたって複数の国内外の研究者を招聘して研究活動を行う. ①国内外の出張:成果発表と研究打ち合わせの出張を行う.(約500千円)②研究者招聘:研究打ち合わせのため,国内から5名,海外から2名程度,招聘する.(約1300千円)③物品費:情報収集や研究推進のために必要な図書を購入する.(約300千円)④謝金:大学院生を含む若手研究者に,具体的な研究課題に関連して計算機実験による研究補助を依頼する.(約100千円)
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Research Products
(9 results)