2015 Fiscal Year Annual Research Report
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25707002
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
谷口 隆 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60422391)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 概素数 / 概均質ベクトル空間 / 指数和 / 篩 |
Outline of Annual Research Achievements |
概均質ベクトル空間やその一般化である余正則空間からは,整数軌道の個数を数えることで密度定理を証明することができる.今年度は,三変数二次形式の対のなす12次元の概均質ベクトル空間を用いて,概素数判別式をもつ四次体の個数を下からのよい評価を得た.
証明のためには,一方で特異軌道の指示関数のフーリエ変換として定まる指数和のよい評価が必要である.他方で,線形篩を用いて概素数についてのよい成果を得るためには,「分布レベル」と呼ばれる値が大きく選べることを示す必要がある.現状では1/5=0.2が可能な限界であると考えられるが,これが8/51=0.156... までできることを示した. 基本的な道具は,Bhargava-Ekedahlの幾何篩である.従前これは平方自由篩に用いられて様々な成果を生んできたが,その命題はより一般的な形をしており,今回はそれが線形篩にも有効であることを確かめた.各素数での有限体上の集合論的な軌道の階層化が,整数環上でのスキーム論的な特異集合の階層化に(同時に)沿うという数学的事実に基づくものである.これと指数和の評価をうまく組み合わせることができ,8/51という分布レベルを得た.この方法は,他の概均質ベクトル空間や余正則空間にも適用できるのではないかと考えられる. この成果は論文に執筆中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概均質ベクトル空間に内在する構造を整数論に応用する方法を新たに見出すことができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
3次環のゼータ関数を数える二重ディリクレ級数について,共同研究者の Gautam Chinta 氏(ニューヨーク大)と緊密に連絡を取りながら,さらに研究を進める.また概均質ベクトル空間の指数和の公式は様々な整数論的応用が見込まれるので,この研究を推進する.同時に,指数和の計算方法を余正則空間に拡張することができないかも検討する. これらの研究を進めるために,さまざまな技法から代数群の整数論を研究している国内外の若手研究者を研究協力者として,連携を密に取りながら研究を進める.このために,研究代表者が国内外の渡航を何度か行うほか,ある程度の期間にわたって複数の国内外の研究者を招聘して研究活動を行う.
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Causes of Carryover |
経費を効率的に用いたため,また相手方の都合により研究者招聘が次年度の方が効率よく研究活動を行えることが判明したため,余剰額が発生した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究代表者が国内外の渡航を何度か行うほか,研究者を招聘する旅費として使用する.
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