2013 Fiscal Year Research-status Report
非線形分散型方程式に対する分散波, 孤立波およびそれらの相互作用の解析
Project/Area Number |
25707004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
瀬片 純市 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90432822)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 関数方程式論 / 数理物理学 / 漸近解析 / 調和解析学 / 流体 |
Research Abstract |
本研究の目的は, 物理学や工学に現れる非線形分散型方程式に対し, 解の長時間挙動, 特に分散波や孤立波が解の長時間挙動にどのような影響を及ぼすのか?という問題を関数解析, 変分法, 調和解析などの手法を用いて解析することである。本年度はデルタポテンシャルを持つ非線形シュレディンガー方程式(D-NLS)の散乱問題について研究を行ったとともに, 修正Korteweg-de Vries(mKdV)方程式の進行波の漸近安定性について考察した。デルタポテンシャルを持つ非線形シュレディンガー方程式(D-NLS)は, 局在化した欠陥を持つ光導波路を通る光の伝播を記述するモデルとして提唱された。本研究では, 与えられた関数に対して, 時刻無限大でその関数に漸近するような(D-NLS)の解を構成した。線形シュレディンガー方程式の散乱理論の類推から, (D-NLS)の解は線形化方程式の解に漸近しないと予想される。 そこで本研究では小澤徹氏により確立された非線形シュレディンガー方程式に対する長距離散乱理論を応用することによりこの問題にアプローチした。 小澤氏の手法においてフーリエ変換のさまざまな性質が重要な役割を果たすが, ポテンシャルがある場合はフーリエ変換を有効に用いることは困難である。 そこで本研究ではフーリエ変換の代わりに(D-NLS)の線形化方程式に付随した一般化フーリエ変換を導入することにより(D-NLS)の散乱問題を証明した。 また, 今年度は修正Korteweg-de Vries方程式(mKdV)の進行波の漸近安定性の証明へのファーストステップとして方程式(mKdV)を進行波のまわりで線形化した線形化作用素について一般化フーリエ変換を用いて解析を試みた。今年度8月に, 偏微分方程式を専門とする大学院生, 若手研究者を集め, 研究集会「第35回発展方程式若手セミナー」を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究目標のひとつは修正Korteweg-de Vries方程式(mKdV)の進行波の漸近安定性について研究を行うことであり, この解析方法を確立することが本研究のファーストステップである。本年度はデルタポテンシャルを持つシュレディンガー方程式(DNLS)の散乱問題について, 一般化フーリエ変換および非線形シュレディンガー方程式に対する長距離散乱理論を用いて解析することができたが, この手法は方程式(mKdV)の進行波の漸近安定性の証明にも有用であるように思われる。そこで今後は一般化フーリエ変換を用いた方法をさらに押し進め, 方程式(mKdV)の進行波の漸近安定性を証明したい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度以降も引き続き, 修正Korteweg-de Vries方程式の漸近安定性を研究していくとともに, 平成26年度は渦糸運動を記述するDa Riosモデルに対し, 進行波の安定性について研究を行いたい。Da Riosモデルの解析の困難な点のひとつはDa Rios方程式が見た目上線形項を含んでいないため方程式を線形化方程式の摂動として捉えることが難しいという点である。平成26年度はこれらの問題の解決策を模索する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は, 国内で行われた非線形分散型方程式関連の研究集会に重点的に出席したため, 旅費が予定額より下回った。 平成26年度は修正Korteweg-de Vries方程式の孤立波の漸近安定性および渦糸運動を記述するモデルの長時間挙動について研究を進めるが, 得られた成果を日本国内外の研究集会などで成果報告を行うための旅費として320,000円を見込む。また偏微分方程式関連の図書購入として50,000円を見込む。
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Research Products
(2 results)