2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25707005
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
三浦 英之 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (20431497)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 非圧縮性流体 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き前川泰則氏と共同で境界がグラフで表されるn次元領域上における非圧縮性流体の研究を行った.適当なノルム位相においてn次元ソレノイダルベクトル場全体のなす空間からR^{n-1}値関数全体のなす空間への同型写像を構成した.この同型写像はある種の勾配ベクトル場を消去する作用があり,非圧縮性流体の解析に有用である.その応用の一つとして(非定常)Stokes方程式の新しい解析法を考案した.これは上記の同型写像を用いることによりStokes作用素をラプラシアンの低階摂動と見なして解析するものである.これは半空間におけるStokes方程式に対する鵜飼氏によるアプローチの一つの一般化と考えられる. また伊藤翼氏,米田剛氏と共同で2次元非圧縮性Euler方程式の時間大域挙動の研究を行った.no flow境界条件の下では大域解の渦度勾配の最大ノルムは時間について高々重指数増大しかしないことが知られていたが,重指数増大するような解が実際に存在するかという問題が残されていた.最近この問題について進展があり,A.KiselevとV.Sverak(2014)により2次元円盤において境界の近傍で重指数増大する解が存在することが示された.我々はこれに関連し正方形内におけるEuler流を考察し,ある種の対称流については頂点の近傍で高々指数増大しかしないことを証明した.これは境界の形状により解の挙動が異なることを示している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までの結果を踏まえて非圧縮性流体の研究を行い,解の評価や時間大域挙動について新しい知見を得ることが出来たから.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究でグラフを境界とするような領域における非圧縮性Stokes問題の解の評価を得ることができたので応用としてNavier-Stokes方程式の解の構成を行いたい. また非圧縮性Euler流については正方形という対称性の高い領域での大域挙動を研究したが,今後はより一般の角をもつ領域における場合を考察したい.
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Causes of Carryover |
諸事情により予定していた長期の海外出張が不可能になったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度はいくつかの海外での国際研究集会への参加および夏季,冬季休業中に海外出張を予定している.
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Research Products
(3 results)