2015 Fiscal Year Annual Research Report
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25707005
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
三浦 英之 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (20431497)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 非圧縮性流体 / 調和写像熱流 / 自己相似解 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き,伊藤翼氏,米田剛氏と共同で2次元領域上の非圧縮Euler流の渦度およびその勾配の時間大域挙動の研究を行った.特に有界な領域で境界が角をもつ場合に考察を行い,角の大きさに応じてその増大度に違いが生じることを示した. 角度が90度より小さい場合は,角付近での渦度勾配は高々単指数増大しかしないことを示し,実際に単指数増大する解の例も与えることが出来た.また角度が90度を超える場合については,連続な初期渦度場に対しても瞬時に連続性を失う解を構成することができた.これらは前年度得られた正方形領域における結果を一般化するものである.
また,Pierre Germain氏, Tej-Eddine, Ghoul氏とエネルギー超臨界次元における調和写像熱流方程式について共同研究を行った.d次元ユークリッド空間からd次元球面への同変調和写像熱流については,前方自己相似解(expanders)が存在するものの,6次元以下の場合,初期値によってはそれが一意に定まらないことが知られていた.そこで,その自己相似解の安定性および一意性を回復するための判定条件の研究を行った.その結果,初期値によっては同じ初期値から出発する自己相似解でも局所的に安定となるものが複数存在することがわかった.また6次元以下の場合,写像の空間原点付近の挙動に適切な条件を課すことで一意性が成り立つことも証明できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調和写像熱流については目標の一つである前方自己相似解の安定性を示すことができた.また,応用として一意性に関する結果も得ることが出来た. また2次元Euler流の渦度の研究については,前年度の研究を基に対称性等を仮定しない一般の領域の考察が出来たので,研究は順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
調和写像熱流については,同変写像とは限らない一般の写像について,解の一意性および自己相似解の安定性の研究を行い,また,その大域挙動についても研究を行う.そのためにPierre Germain氏らと引き続き議論を行う. 非圧縮粘性流体については,非コンパクトな境界をもつ領域においてNavier-Stokes流の局所可解性および小さい初期値に対する大域可解性を証明する.そのために,前川泰則氏との議論を継続する.
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Causes of Carryover |
本年度は研究打ち合わせの旅程が当初予定より短くなったため, 旅費が予定額より下回った.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は非圧縮粘性流を記述する方程式の長時間挙動および,調和写像熱流の解の漸近解析について研究を進めるため,国内外で研究打ち合わせを行う.また得られた成果を研究集会などで成果報告を行い,関連研究者との議論を行う.
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Research Products
(5 results)