2014 Fiscal Year Annual Research Report
遠赤外線・サブミリ波スペクトル観測で暴く、塵に隠された銀河化学進化
Project/Area Number |
25707010
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
長尾 透 愛媛大学, 宇宙進化研究センター, 教授 (00508450)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 光学赤外線天文学 / 電波天文学 / 宇宙物理 / 銀河進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルマ望遠鏡による微細構造輝線観測との関係では、サイクル0で取得したデータに基づく2編目の査読論文を共著で出版した。赤方偏移5程度のサブミリ銀河について、私のサイクル0の観測で計測した [NII]205 輝線の強度と、サイクル0の別課題で同一天体について計測した [CII]157 輝線の強度を比較することで、当該天体の金属量推定の精度を向上させた。既に出版していた1編目の論文では、[NII]205 輝線と [CII]157 輝線の速度プロファイルの間に若干の差異があり、その原因が謎のままであったが、サイクル0で観測した高精度の [CII]157 スペクトルを使うことによりこの差異は消滅した。更に遠方銀河における微細構造輝線の観測を進めていくため、サイクル2で2件の観測提案を highest priority 課題として採択していただいたが、この観測については現在のところ実行を待機している段階である。 サイクル2データが平成27年度に得られることを見据え、平成26年度の間に微細構造輝線の解釈に関する理解を深めることを目的とした活動を推進した。具体的には、平成26年6月18ー19日および12月2ー3日に系外銀河における微細構造輝線観測をテーマにした勉強会を世話人として開催し、国内の観測および理論の両サイドの関連研究者と突っ込んだ議論を行う場面を設けた。 一方、広視野の赤外線データと可視光データを比較することによって、塵に深く覆われた銀河の系統的な探査を進める取組についても並行して進めた。すばる望遠鏡の超広視野カメラ Hyper Suprime Cam のサーベイが初期データをリリースしたことを受け、赤方偏移2程度で顕著に赤化を受けた銀河種族を探査した結果、そうした銀河を数十天体発見することに成功した。このサンプルの統計的性質などは査読論文にとりまとめ、平成26年度内に投稿した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルマ望遠鏡による観測との関係では、サイクル0、1、2いずれの機会でも共同利用観測の時間を獲得してきており、サイクル0のデータについては2編の査読論文を出版できている。またサイクル1と2のデータを解釈するための準備も具体的な勉強会などの形で進めることができている。 広視野の赤外線データと可視光データの比較による塵に深く覆われた銀河種族の探査に関しては、既に初期成果を査読論文にとりまとめて投稿することができている。 更に中長期的な将来計画との関係では、我が国が中心となって推進している赤外線宇宙望遠鏡計画である SPICA 衛星のサイエンス検討に深く関わり、サーベイ立案などに充分な貢献をすることができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
アルマ望遠鏡による観測との関係では、サイクル1とサイクル2で取得された(あるいはこれから取得される)観測データの解析を速やかに完了させる。この解析結果を解釈するための光電離モデル計算について、特に光解離領域が輝線スペクトルに影響を顕著に及ぼすようなパラメータスペースに関しては追加計算を進め、データの正しい解釈が得られる体制を速やかに構築する。必要に応じて、我が国の関連分野研究者との意見交換を行う場面を勉強会や研究会といった形式で用意する。 広視野の赤外線データと可視光データの比較による塵に深く覆われた銀河種族の探査に関しては、可視光の部分で Hyper Suprime Cam 以外の広域サーベイデータも積極的に組合せ、未調査のパラメータスペースにおける探査を更に推進する。また分光フォローアップ観測を進めるために必要な望遠鏡時間を確保するための活動も進める。 更に中長期的な将来計画との関係では、SPICA 衛星のサイエンス検討に引き続き参画し、サーベイ計画の具体化に貢献する。
|
Causes of Carryover |
申請時における計画では、膨大な観測データを効率よく解析して研究期間内に成果をとりまとめられるように研究員を雇用して研究を進める予定だった。ところが本研究に対する直接経費配分額が申請額よりも大幅に少なかったために当初計画通りでは研究員の雇用が不可能になり、そのままでは研究期間内に予定の研究を完了させることができない事態となった。そこで研究期間4年間の中での研究の順序を見直し、計画の1年目は支出額をできるだけ減らして2年目と3年目の2年間で集中的にデータ解析を進めることとし、この2年間について研究員を雇用することとした。この方針に従い、計画1年目にあたる平成25年度は、基金分と補助金分を合わせて200万円が配分されたうちの約130万円を次年度に繰り越し、この130万円のうち約半分は平成26年度に(人件費として)支出し、残る半分(約64万円)をここで次年度(平成27年度)使用額としている。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の通り、次年度使用額については、もともと平成27年度に配分されている金額だけでは不足している研究員の雇用費に充てる計画である。これは本計画を計画期間内に完了させて成果をとりまとめるためにはどうしても必要なことである。
|
Research Products
(18 results)
-
-
[Journal Article] ALMA resolves turbulent, rotating [CII] emission in a young starburst galaxy at z=4.82014
Author(s)
C. De Breuck, R. J. Williams, M. Swinbank, P. Caselli, K. Coppin, T. A. Davis, R. Maiolino, T. Nagao, I. Smail, F. Walter, A. Weiss, and M. A. Zwaan
-
Journal Title
Astronomy and Astrophysics
Volume: 565
Pages: id.A59
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
-
[Journal Article] Star Formation at 4 < z < 6 from the Spitzer Large Area Survey with Hyper-Suprime-Cam (SPLASH)2014
Author(s)
C. L. Steinhardt, J. S. Speagle, P. Capak, J. D. Silverman, M. C. Carollo, J. Dunlop, Y. Hashimoto, B. Hsieh, O. Ilbert, O. Le Fevre, E. Le Floc'h, N. Lee, L. Lin, Y. Lin, D. Masters, H. J. McCracken, T. Nagao, A. Petric, M. Salvato, D. B. Sanders, N. Z. Scoville, K. Sheth, M. A. Strauss, and Y. Taniguchi
-
Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 791
Pages: id.L25
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-