2015 Fiscal Year Annual Research Report
大気チェレンコフ光の収集効率改善による次世代ガンマ線望遠鏡CTAの高感度化
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25707017
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
奥村 曉 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 助教 (90645011)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ガンマ線天文学 / チェレンコフ望遠鏡アレイ / 光線追跡 |
Outline of Annual Research Achievements |
H27 年度は CTA 大口径望遠鏡望遠鏡用の焦点面カメラに用いる集光装置の量産を開始し、共同研究先の茨城大学でおよそ 300 個の集光装置を製作した。これらの集光効率を測定したところ、465 nm の波長では約 95% と十分に高い集光効率が得られ、365 nm でも約 88% という満足のいく結果を得ることができた。また製作した全数の効率を測定したところ、平均値±3% 程度の範囲で性能が収まっていることが確認された。 しかしいくつかの課題も残っている。第一は、製作速度の向上である。現在 1 個あたり約 15 分を要しており、また製作者の手先の器用さによっても所要時間や仕上がりに差が出てしまう。より簡単に大量生産できる体制が必要である。第二の課題は、集光効率のばらつきを 2% 以下程度に抑える工夫が必要なことである。反射材がコーティングに反ってしまうという問題があるため、集光装置内面の形状を設計通りにできていない。PET フィルムのような厚みのある素材で反射材を補強することにより、フィルムの歪みを抑え、集光性能を一様にする必要がある。第三の課題は測定系の安定性と較正である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、予定した 1855 個および予備の集光装置のうち、約 300 個の製作を終えた。本来であれば全数を製作し、H28 年度に望遠鏡の観測に供する予定であったが、性能試験の安定性、製作方法の洗練などに当初予定より時間を要したため、製作が若干遅れている。しかし性能としては満足の行くものが既に得られており、今後はさらなる改良に時間を使う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は残る約 1500 個の集光装置の製作、性能評価手法の改善、PET フィルム貼付けによる性能の向上と安定性の確立を進め、大口径望遠鏡試作カメラに全数を取り付けてガンマ線観測を行う予定である。また同時に、中口径望遠鏡用の集光装置の共同開発をドイツグループと進める計画である。
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Causes of Carryover |
H28 年度分を前倒し請求したものの、その全額を H27 に使う必要が生じなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H28 年度に残る集光装置の製作と、中口径望遠鏡用の集光装置の作成に使用する。
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