2016 Fiscal Year Annual Research Report
大気チェレンコフ光の収集効率改善による次世代ガンマ線望遠鏡CTAの高感度化
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25707017
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
奥村 曉 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 助教 (90645011)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ガンマ線 / 宇宙線 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は紫外領域で高反射率を有する鏡面フィルムを用いた、ガンマ線望遠鏡用の集光装置を製作し、次世代ガンマ線望遠鏡Cherenkov Telescope Array(CTA)のトリガー閾値を下げることである。これまでに20~70度の入射角度及び300~600 nmの波長領域で約94%から99%に達する反射率を持つ反射材の開発に成功し、これを使った集光装置の製作を行ってきた。また期待通りの性能を出すための製作手法の再検討、測定装置の再現性の向上を行った。2015年度までに行った試作と性能評価では、反射材の持つ形状歪みによって、集光装置のカットオフの角度周辺で期待通りの集光性能が出ていないことが分かっていた。このため、2016年度は反射材の裏面に厚さ100 umのスチール板を貼り付けて形状の補強を行うこととし、改めて集光装置の試作を行った。その結果、310、365、465 nmの波長における集光効率が約95%から105%の範囲に達することがわかり、他の手法を使った集光装置に比べて10%程度高い集光能力を有することが分かった。また性能評価の測定精度も1%程度と十分に安定しており、また集光装置ごとの個体差も同程度であることが分かった。これら結果から、2016年度の研究で製作された集光装置は、CTAの大口径望遠鏡に使用する上での性能を十分に上回っていることが分かった。これら結果は2016年度中に論文化を開始し、2017年度には査読論文として発表される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2016年度に集光装置を約2000個製作する予定であったが、実験プロジェクト全体の計画変更に伴い、約半数を製作した段階で製造を停止している。
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Strategy for Future Research Activity |
プラスチック表面への直接アルミ蒸着を用いた製作手法も検討し、最終的な設計手法と量産への足がかりを整える。
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Causes of Carryover |
実験プロジェクト全体の計画変更に伴い、集光装置製造の手法の再検討と製作スケジュールの見直しが必要となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
プラスチック表面へのアルミ蒸着を試験し、より簡単な製作が可能かを検討する。
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