2014 Fiscal Year Annual Research Report
細胞熱力学の創成:細胞内熱物性の測定とサーマルシグナルの理解
Project/Area Number |
25707035
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大山 廣太郎 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (70632131)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 温度測定 / 熱伝導 / 温度感受性 / 単一細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は局所的な加熱法と温度測定法を駆使することによって、単一細胞内の熱物性を測定し、生命活動における発熱と局所的な温度変化をつなぐ物理学的基盤を構築することを目指すものである。さらに局所的な温度変化を単一細胞がいかに感じているかを観測し、細胞内の熱の流れの生理的意義を解明することを目的としている。 2014年度は、昨年度に引き続き、細胞内熱伝導のイメージング技術の開発とその解析を行った。細胞内に1455 nmの赤外光レーザーを照射し、その時に形成される温度分布を温度感受性蛍光色素による蛍光イメージングから可視化することで、細胞内部の熱伝導率を非侵襲マッピングする手法を構築した。この手法によって、細胞内の不均一な熱伝導を可視化・定量解析することに成功した。また、赤外光レーザーによって形成される単一細胞スケールの温度勾配によって、癌細胞(HeLa細胞)の形状変化(ブレブ形成)が引き起こされることを発見した。このブレブ形成は細胞内の温度勾配がわずか1.3度でも引き起こされること、ブレブ形成にはアクトミオシンによる力発生が関与していることを明らかにした。さらにはWI-38細胞やラット海馬神経細胞、ラット心筋細胞の温度感受性を単一細胞で評価する系を構築し、素早い温度変化(熱パルス)によってCa2+上昇やサルコメア振動が誘発される現象など、新たな温度感受性を捉えることにも成功している。これらは細胞の熱物性・温度感受性を明らかにする上で、大きな進展となり、成果の一部は論文・学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各テーマごとに計画通りに進んでおり、いくつかの成果は論文・学会発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通り推進し、最終年度内にそれぞれの成果を論文掲載に至ることを目指す。
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Causes of Carryover |
高価な物品の購入を次年度にまわしたことが主な理由です。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究をより推進させるための物品・消耗品の購入に割り当てる計画です。
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Research Products
(11 results)