2013 Fiscal Year Annual Research Report
X線自由電子レーザーを用いたポストスピネル相転移のフェムト秒時分割観察
Project/Area Number |
25707041
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
丹下 慶範 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 助教 (70543164)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | X線自由電子レーザー / レーザー衝撃圧縮 / 相転移ダイナミクス |
Research Abstract |
本研究課題は、これまでマクロな時間スケールでしか観察されたことのないカンラン石ポストスピネル相転移ダイナミクスの解明に向けた、X線自由電子レーザーを用いたフェムト秒時分割その場観察実験技術の開発、実験システムの構築・高度化を目的としている。 初年度にあたる2013年度にはまず、研究課題を遂行する上で不可欠である装置開発を重点的に行った。実験はX線自由電子レーザー施設SACLAで行ったが、施設内に2013年度に新たに供用が開始されたSACLA/SPring-8相互利用施設に大阪大学光科学センターを中心とする研究グループによって導入された、40 TWロングパスルポンプレーザーおよび高強度レーザー衝撃圧縮実験用真空チャンバーを使用した。これら新たに整備された施設でレーザー照射後の遅延時間を変更しながら効率よく高精度のポンププローブ測定を行えるよう、試料ステージやホルダー類を新規に設計・作成し、実際にX線自由電子レーザーおよび高強度ポンプレーザーを用いた実験での使用を開始した。また同時に測定用試料の準備を円滑に行うため、ターゲット試料作成観察システムや各種金属スパッタ装置を整備した。 SACLAでの実験は先述した大阪大学光科学センターを中心に、地球惑星科学関連としては広島大学、岡山大学、神戸大学の研究者からなるグループによる共同研究として行っている。2013年度には本研究の対象としているカンラン石に加え、地球科学的に重要な端成分の一つである石英についても予備的なポンププローブ測定を行い、本研究課題で新規に導入した試料ステージシステムのテストを行うと同時に改良開発を図った。予備実験ではハードウェア面だけでなく測定手法の開発・高度化も行い、良好な結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初課題遂行に必要だと考えていた整備すべきハードウェアのうち、高強度レーザー衝撃圧縮実験用真空チャンバーが大阪大学光科学センターグループを中心に新たにSACLA/SPring-8相互利用施設に整備されたため、本研究ではX線自由電子レーザーを用いた測定に、より直接的に関わる試料ホルダーステージシステムやターゲット試料準備システムの整備に集中できた。そのため計画は当初予定を大きく上回って進捗し、2年次以降の実施を計画していたX線自由電子レーザーを用いた高度な予備的測定をすでに実施できており、その結果も非常に良好であった。 今後はこれまでにテストしてきたカンラン石や石英、各種単元素金属に加え様々な試料についてもレーザー衝撃圧縮を行い、相転移の超高速その場観察を試みる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでにテストしてきたカンラン石や石英、各種単元素金属に加え様々な試料についてもレーザー衝撃圧縮を行い、相転移の超高速その場観察を試みる。これまで行ってきた実験では、レーザー衝撃圧縮された試料の状態を、ナノ秒以下の時分割で、空間的には数ミクロンの解像度でその場観察することに成功したものの、構造相転移に関しては、特定試料をもちいた特殊な条件でしか観察されておらず、酸化物やケイ酸塩鉱物ではまったく確認できていない。今後は明瞭な構造変化を観察するために、低圧相から高圧相への相転移だけでなく、あらかじめ大型プレスなどで合成しておいた高圧相を出発試料として使用した実験にも取り組む。また本研究の最終的な目的である高圧相転移の観察に向け、パルス幅の長い高強度レーザーの使用も開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題では、整備する物品のうちX線自由電子レーザー施設で使用するものの多くが、実験機会ごとにテストを行い半年ごとに再設計し改良を加え高度化していく必要がある。そのため設備備品費として計上した基金分は初年度で使用しきらず2年次以降にも使用することとした。 初年度に設計し使用を開始した試料ホルダーステージシステムに改良を加え、さらに円滑に実験を行うために複数個用意する。2013年後半に行われる実験に間に合わせるよう整備する。また薄膜状のターゲット試料を作成するため、自動精密切断機の整備を検討しており、2014年度の交付申請に計上してある。
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Research Products
(17 results)
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[Presentation] Ultrafast XFEL diffraction measurements of femtosecond laser-driven shock-compressed iron
Author(s)
Sano, T., N. Ozaki, T. Matsuda, R. Kashiwabara, H. Uranishi, K. Nakatsuka, Y. Kondo, T. Matsuoka, Y. Sano, Y. Tange, T. Sato, T. Sekine, K. Arakawa, T. Mashimo, T. Togashi, K. Tono, Y. Inubushi, T. Sato, M. Yabashi, O. Sakata, A. Hirose, and R. Kodama
Organizer
HEDS2013 (International Conference on High Energy Density Sciences 2013) in OPIC 2013 (Optics & Photonics International Congress 2013)
Place of Presentation
Yokohama, Japan
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[Presentation] Experimental platform design for matter under dynamical compression driven by 45 TW laser pulses in XFEL facility (SACLA)
Author(s)
Matsuoka, T., Y. Inubushi, S. Matsuyama, N. Ozaki, T. Sano, T. Togashi, T. Yabuuchi, T. Sato, H. Habara, K. Sueda, Y. Tange, K. Hirota, K. Masaki, T. Fujita, H. Tomizawa, K. A. Tanaka, K. Yamauchi, M. Yabashi, O. Sakata, Y. Sano, T. Sekine, and R. Kodama
Organizer
HEDS2013 (International Conference on High Energy Density Sciences 2013) in OPIC 2013 (Optics & Photonics International Congress 2013)
Place of Presentation
Yokohama, Japan
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[Presentation] SACLA X線自由電子レーザー同期 40 TWレーザーシステムの整備と応用
Author(s)
松岡健之, 尾崎典雅, 犬伏雄一, 富樫格, 薮内俊毅, 小川奏, 佐野智一, 末田敬一, 松山智至, 山内和人, 羽原英明, 冨澤宏光, 佐藤尭洋, 松田朋己, 近藤良彦, 林圭輔, 佐藤友哉, 喜田美佳, 小川剛史, 山下真直, 丹下慶範, 佐藤友子, 関根利守, 奥地拓生, 瀬戸雄介 ほか
Organizer
衝撃波シンポジウム
Place of Presentation
青山学院大学相模原キャンパス, 神奈川
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[Presentation] X線回折及び反射率計測を用いたメルト付近の鉄に関する物性診断
Author(s)
近藤良彦, 尾崎典雅, 浦西宏幸, 丹下慶範, 楊宋翰, 池谷正太郎, 喜田美佳, 佐藤友哉, 小川剛史, 坂和洋一, 佐野孝好, 兒玉了祐
Organizer
高圧討論会 (第54回)
Place of Presentation
朱鷺メッセ, 新潟
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[Presentation] XFEL回折によるフェムト秒レーザー駆動衝撃圧縮下の固体の格子ダイナミクス計測
Author(s)
佐野智一, 松田朋己, 廣瀬明夫, 尾崎典雅, 浦西宏幸, 松岡健之, 兒玉了祐, 荒川一渡, 佐野雄二, 関根利守, 佐藤友子, 丹下慶範, 富樫格, 登野健介, 犬伏雄一, 佐藤尭洋, 矢橋牧名, 坂田修身
Organizer
高圧討論会 (第54回)
Place of Presentation
朱鷺メッセ, 新潟
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