2014 Fiscal Year Annual Research Report
グラフェン環境セルを利用した生体分子の直接観察法の開発
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25708002
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北浦 良 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50394903)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | グラフェン |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)サンドイッチ構造の作製法の改良 グラフェンサンドイッチ構造作製の歩留まりを上げるため、これまでに用いてきた手法とは異なる転写法を検討した。転写による作製法では、高結晶性のキッシュグラファイトを母物質として用い、機械的剥離によって大面積のグラフェン単離する。続いて単離したグラフェンをTEMグリッド上へ転写し、水や溶液をその表面へ噴射したのち、その上にさらに大面積の剥離グラフェンを転写によってかぶせる。このプロセスを繰り返し、歩留まりを上げるための検討を行った。CVDグラフェンを用いた従来の方法よりも短時間でグラフェンサンドイッチ構造が作製できることが明らかになった。また、CVDグラフェンとは異なり、単層に加えて、2層、3層、多層のグラフェンも用いることができる。多層構造は電子線照射に対する耐性が高いため、剥離グラフェンを用いたサンドイッチ構造は、長時間観察に適していることも明らかとなった。
(2)グラフェンサンドイッチ構造の観察 CVDグラフェンを用いた方法、剥離グラフェンを用いた方法によって作製したグラフェンサンドイッチ構造のTEM観察を行った。今回は、加熱および冷却ホルダーを用いた温度変化の実験を行い、溶液の相転移をミクロに観察することを目的とした実験を集中的に実施した。詳細は論文として発表する予定であるが、マクロなスケールでの観察とは異なる現象が、TEMを用いたミクロスケールな観察で見えてきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたサンドイッチ構造を安定に作成することが出来たことに加え、当初は想定していなかった現象が、さまざまな溶液をサンドイッチした構造の観察を通して見えてきたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2種類の作成法を用いてできるだけ多数のサンドイッチ構造を作成し、種々の溶液について詳細な温度変化を含む観察を継続することで、ミクロな視点からの溶液の相転移を明らかにする。また、当初の計画通り、生体分子を含む溶液に展開し、溶液中における生体分子を直接観察する実験を推進する。
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Causes of Carryover |
サンドイッチ構造作製方の開発に、当初予定していたよりも時間をかけたため、想定していた使用用途の一部を翌年度に回したほうが適切であると判断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
TEM観察に必要となるグリッド、TEMサンプルの処理装置などの整備にかける予定である。
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