2015 Fiscal Year Annual Research Report
グラフェン環境セルを利用した生体分子の直接観察法の開発
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25708002
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北浦 良 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50394903)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | グラフェン / 透過型電子顕微鏡 / 環境セル |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度ではグラフェン環境セルの作製法を洗練させつつ、種々の溶液・混合溶媒・溶質の観察に注力した。環境セルの作製法については、これまで検討してきた2種類の方法(化学気相成長法によって成長した大面積グラフェンの転写による方法、単結晶グラファイトからの剥離グラフェンをドライ転写する方法)に加えて、電子線リソグラフィーを用いた作製法を検討した。これを用いることで、セルのサイズ(大きさ、深さ)をサブ100ナノメートル単位でコントロールして作製することが可能となった。とくに深いセルが作製できるようになったため、溶液本来の構造が観察できるようになると考えられる。 観察では、水および水/アルコール混合溶媒を中心に検討を行った。水については、バルクとは異なる相転移挙動が現れるなど、小さなセルに閉込められたことに由来する興味深い現象を見出した。大きなセルに閉込められた場合には、水中に発生した気泡がダイナミックに動く様をリアルタイムで捉えることに成功した。さらに、水/アルコール系ではミクロなスケールで相分離が起きていることを示唆する結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画にはなかった新たなグラフェン環境セルの作製法を開発し、セルのサイズを自在にデザインして作製することに成功した。さらに、当初予想していなかった水の相転移挙動、水/アルコール系の相分離を示唆するTEM像を観察することに成功した。以上のことから、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は確立したセルの作製法を用いて、生体分子、イオン液体、コロイド分散系などの種々の溶液系のミクロな観察を行っていく。
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Causes of Carryover |
環境セルの作製法が当初予定していなかった新しい方法も検討したため、従来法を持ちて作製する際に必要であった一部の消耗品の購入が遅れることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度に従来法を含めてセルを作製するため、予定していた消耗品を購入する。
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